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2024.10.13

秋葉硝子②|インタビュー編「秋葉区をものづくりの街に」

くもりのちはれ。
第1回は、学生メンバーの硝子製作体験レポートをお届けしました!
第2回は、硝子工芸作家の照井康一さんと長谷川洋平さんへのインタビュー回です。
ぜひ、最後までご覧ください…!

左から、照井康一さん、長谷川洋平さん

 

―新潟の秋葉区という場所で、吹き硝子工房をオープンした理由を教えてください。

 

照井さん:元々、僕は今の秋葉硝子の前身である和光硝子(業務用食器や照明を製造)の立ち上げメンバーなんです。当時は、34人くらいの従業員の工房でした。和光硝子が順調に進んでいたので、僕は元々やりたかった(美術品としての要素もある)工芸の方に進むために一度和光硝子を抜けました。そして、23年間は個人で工芸をやっていました。ただ、月日が流れ、業務用食器や照明が安価で製造できる中国等で製造されるようになっていきました。それによって打撃を受けた和光硝子を立て直すため、戻ってきました。そして、体験もできる吹き硝子工房として「秋葉硝子」を新たにオープンさせました。和光硝子は照明を作っていた日本で最後の工房になるんです。僕たちが最後に作った照明は、皇居の宮内庁警察武道場の天井に付けられました。下から見ると全部菊の御紋の形になっています。あとは、国会の参議院議員会館の入り口にも利用されました。今も使われています。

 

 

―秋葉区には、元々多くのガラス屋があったんですか。

 

照井さん:昔、秋葉区新津は石油がたくさん採れて、秋葉の山は日本一の石油産出量だったんです。油が採れてガスも出たので、ガラスを溶かすための燃料が得やすく、日本中からガラス屋が集まってきました。当時、ここら辺にはガラス屋が17社もあったんです。東京、大阪に次ぐ3番目くらいのガラス屋が集まる地帯でした。こんなに狭いエリアに17社というのは、日本で珍しかったですね。秋葉区は、「ガラスの里」と呼ばれていました。ただ、照明の生産などが海外に移り変わっていったことで、今はここ秋葉硝子だけになってしまいました。業務用食器ではなく、工芸でなければ生き残るのが難しくなっていきました。

 

 

―秋葉硝子の吹き硝子体験には年間どれくらいの人が来られて、どの季節に最もお客さんが多いですか。

 

長谷川さん:旅行情報サイト「じゃらん」を利用し始めて2年ですが、去年1年間で1000人弱の方が来られました。今年は2500人くらいを見込んでいます。今は、SNSで広まるという効果も大きいみたいです。現在、体験の7~8割は県外からいらっしゃる方です。年代は幅広いですが、特に女性の方が多くて、カップルでの来店も多いです。季節的には、やっぱり夏の時期が多くて、夏休み期間で子供たちが来てくれます。親子連れの方もすごく多いですね。

 

 

―体験予約のボードも予約でいっぱいですね。

 

長谷川さん:ここ秋葉区は中央区の5割増しくらいで雪が降るのですが、冬の時期でも多くの方がいらっしゃいます。今は、体験と僕たちの製作作業が8対2くらいの割合になっていて、僕たちの作品作りよりも皆さんに体験をしてもらっている時間が長いです。

 

 

―県外からのお客さんは秋葉硝子を観光ルートの1つにしているんですか。

 

長谷川さん:秋葉硝子を目的にまっすぐ来て、その後新潟を少し回る人が多い印象です。この前は、千葉から夜行バスで来てくれたおばあちゃんもいましたね。また、長岡花火の前後のタイミングでも多くのお客さんが来てくれました。飛行機で福岡や熊本からいらっしゃる方もいます。うちの工房ではできる限り、お客さんの要望に応えようというのがあるので、それが評判に繋がっているのではないかと思います。お客さんが「これを作りたい」と写真で持ってこられたら、できる限りはその希望にこたえられるように頑張りたいと思っています。工房は従業員4人で回していて、夏場は暑さと忙しさでハードですね。工房の中に炉があって暑いので、従業員にとっては、冬場でちょうどいいくらいの気温かもしれないです。

 

取材の様子

 

 

―イベントスペースの貸し出しもされていますが、作ろうと思ったきっかけは何ですか。

 

照井さん:僕が元々ジャズ音楽が大好きで、それがきっかけです。今は、他のポップスの方々にも使っていただいています。ただ、まだまだ稼働率は小さいので、もっと多くの人に使ってもらえるようになればと思っています。まだ作家さんに知れ渡っていない部分は多いですけど、作品展もできます。

 

―「趣味や好き」を仕事に絡められるのは素敵ですね。

 

 

 

―これから製品をどんな人々に届けていきたいですか。

 

長谷川さん:ガラス製品は元々好きな方にとってはすごい目を引くものだと思うのですが、ガラスに興味がない方にも届けられるといいと思います。

 

―吹き硝子体験などは硝子製品に興味を持つ1つのきっかけになりそうですよね。

 

長谷川さん:体験をやってもらうことで、ガラスはこういう風に作って形になるんだというのを肌で感じてもらえるといいですね。それで商品を見て、製作過程を想像してもらえると。ものづくりの楽しさも感じながら、商品を見てもらえると嬉しいですね。若い世代にも届くものをどんどん作っていけたらと思います。

 

 

―ガラス製品をどのように使ってほしいですか。

 

照井さん:工芸の部類に入ると、100均と比べて、値段が高くなってしまうと思うんです。なので、その分、たくさん使ってほしいと思います。今の若い子はテーブルウェアをあまり気にしない子も多くて、簡単にワンプレートで済ませるっていう人も多いと思います。ただ、昔はやっぱり漆があって、木があって、ガラスがあって、それを楽しむというのが日本の食卓の伝統でした。ガラス製品も取り入れてもらえたら嬉しいです。

 

 

―今後の目標はありますか。

 

照井さん:秋葉区を再びものづくりの街にするというのが1つの目標です。秋葉区の緑の中でものづくりをする人が集まってくれれば、長期的に見て、秋葉区が人で賑わう街になっていくと思っています。

 

 

 

製品の数々。色合いや形、1つ1つ個性があって美しいです…!

 

照井さん、長谷川さんのお話を聴いて、秋葉区がものづくりで賑わう街になる未来を見てみたいと思いました。皆さんもぜひ、街にあるガラス製品がどんな風に作られたんだろうと一度想像してみてはいかがでしょうか。その先にものづくりの楽しさ、ガラス製品の美しさが織りなす世界がきっと待っています…!

長谷川さんのたすいち

クリエイターが新潟を変える


若手の職人を目立たせたいと、照井さんは奥の方からそっと顔を出してくれています。
そんな照井さんと長谷川さんの関係性も素敵ですね…!

■秋葉硝子
住所:新潟県新潟市秋葉区草水町2-12-32
営業時間:10:00~17:00(水曜定休)
電話番号:0250―47―8402

 

HP:https://www.akiha-gbw.com/
Instagram:https://www.instagram.com/akiha.glass.blowing/
じゃらん体験予約:https://www.jalan.net/kankou/spt_guide000000207214/

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