はたらく
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伏見蒲鉾さんは、新潟市北区に本社を置く、新潟の食卓に欠かせない練り製品を製造する企業です。実は新潟県は練り製品の生産量が全国トップレベルを誇っており、伏見蒲鉾さんはその一翼を担う存在です。魚のすり身を原料に、長年培われた技術と伝統を守りながらも、常に新しい商品の開発に挑戦し、幅広い世代に愛される練り製品を各家庭に届けています。
まず、社員であるお二人が「練り製品」という食品に対してどのような想いを抱いているのか、お二人の入社前後の印象の変化から探っていきます。
―入社前と後で、練り製品に対する印象はどのように変わりましたか?
橋爪さん:蒲鉾に限定すると、蒲鉾は平安時代から食べられていることを知ったことですね。蒲鉾は1115年の平安時代の文献から存在が確認されている、非常に歴史の深い伝統食品です。入社してからは、そうした伝統のある食品を扱っていることに誇りを感じるようになりました。そして、この伝統を私たちの代で終わらせてはならないという使命感も抱きました。今後も1000年、2000年先にもこの食文化を残していきたいと考えています。
北林さん: 入社前は、練り製品というとカニカマと竹輪、そしておせち料理の蒲鉾というイメージでした。しかし入社後は、全国各地に多種多様な特徴を持った商品があることを知りました。商品開発を担当するようになってからは、練り製品には様々な可能性が秘められており、多様な食べ方を提案できる奥深さに魅力を感じています。
次に、お仕事のやりがいについて伺いました。練り製品作りの商品開発と品質保証という、それぞれ別の角度から携わっているお二人。どのような瞬間に喜びを感じるのか、またそのモチベーションについて深掘りしました。
画像左が橋爪さん、右が北林さん
―それぞれのお仕事で最もやりがいを感じる瞬間はどんなときですか?
北林さん:やはり、自分が企画した商品が発売され、普段買い物をするお店に並んでいるのを見たときです。中でも、自分が初めて企画した商品が発売に至ったときはとても感慨深かったです。そのときはもちろん嬉しさもありました。
橋爪さん:品質をしっかりと保った上で美味しい商品をお客様に提供するためには、開発部門だけでなく、われわれ品質保証部門も含め、社員みんなが同じ方向を向くことが重要です。協力して一つのものを作り上げていく姿勢が見えたときに、特にやりがいを感じます。
お二人のお仕事への情熱は、日々の練り製品作りだけでなく、新しい商品の開発にも注がれています。伝統を大切にしながらも、常に新しい可能性を追求していく、「新商品開発」についての熱い思いや、そこに隠された苦労についても伺いました。
―「新商品開発」において、特に努力をなさった点について教えてください。
北林さん:商品開発は、100企画して10発売、1ヒットできれば良い方だと考えています。その中で最も時間を要するのは、商品のコンセプト作り、いわゆる「コア」の部分を練り上げることですね。例えば、「淡雪はんぺん」は、従来の「おでんの具材」というはんぺんのイメージを変え、新しい食感や形を追求しました。当初は秋冬限定の商品でしたが、口どけの良さから春夏にも使っていただけるよう年間商品にしました。
橋爪さん:私たち製造に携わる者としては、美味しくて品質のしっかりしたものを出すことが最重要です。安全であることはもちろん、美味しくなければ食べてもらえません。この「美味しさ」と「品質」のバランスを常に両立させようと、チーム一丸となって取り組んでいますね。
続いて、未来を担う子どもたちに向けた社会貢献事業について伺いました。伏見蒲鉾さんでは、小学3年生を対象に、社会科授業の一環として工場見学を実施しているそうです。
―工場見学について詳しく教えてください。
橋爪さん:工場見学は長年続けている取り組みの一つです。この工場見学は毎年1,000名以上の児童が訪れており、子どもたちに働く姿を見てもらうことで、蒲鉾や食品衛生、地元企業への関心を高めてもらうことを目的としています。最近では、入社してくる社員の中に「実は小学校の時に見学していました」という人がいて、大変感動しました。子どもたちの「美味しそう!食べたい!」という素直な言葉も、私たちにとって大きな喜びです。
これらの製品が作られている工場自体は本社工場以外に、白根工場と北海道工場があります
―工場見学のモチベーションや、やりがいは何ですか?
橋爪さん:練り製品の消費量は横ばいの状況が続いており、特に若い世代はあまり食べられていないのが現状です。だからこそ、練り製品の魅力を子どもたちに伝えたいと強く思っています。また、大人になったときに、その味を懐かしく思ってもらえるように、幼い頃から練り製品の美味しさを知ってもらいたいとも考えています。
今回の伏見蒲鉾さんへの取材を通して、練り製品が持つ奥深い歴史と、それを現代、そして未来へと繋いでいこうとする方々の熱意に触れることができました。伝統を守りつつも新しい可能性を追求していくその姿勢は、練り製品に対するイメージを刷新してくれるものでした。学生の皆さんには、この機会にぜひ、練り製品をご自宅の食卓に取り入れてみてほしいと思います!伏見蒲鉾さんの練り製品を使った下記メニューについては、次回の記事をご参照ください♪
↑次回紹介するメニューです♪
新潟大学2年 松永蓮(撮影:敬和学園大学4年 伊藤優衣)
2025.09.04 WORK