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2023年の「America’s Got Talent」でゴールデンブザーを獲得したCHIBIUNITY
-CHIBIUNITY立ち上げの経緯を教えてください-
地元が高知県なんですけど、母が劇団四季出身で地元でダンススタオを立ち上げて、そこで活動を始めました。もともと僕は2代目なんです。
-ダンススタジオではどのような活動を行っていたのですか-
高知県に人を呼び込むために若者中心でコンテンツ作りのようなことを行っていました。戦後の早期復興と五穀豊穣を祈願したお祭りの盆踊りがよさこいで、母親はそれにダンスを取り入れて「現代よさこい」を作りました。さまざまな人に認知され始めた頃、経済不況の時期と重なって全国的に町おこし、人おこしなどをテーマにしたお祭りでよさこいを題目に立ち上げる人が増えていきました。踊りで人を呼べるということ。それが初めて日本で確立されたジャンルがよさこいでした。
-国友さんはお母さんがきっかけとなったよさこいに対してどのような思いがありますか-
僕自身、いろんな祭りを通じて、よさこいを通じて全国各地に行脚していきました。
よさこいは人々、そして社会の満足度・幸福度を上げる非常に良いコンテンツだと考えました。そんな中、踊りというものが人の役に立つという証明をするために自分自身でさまざまなことをゼロから創り出したいと思うようになりました。
インタビューに応える国友慎之助さん
-では、なぜ新潟を拠点に活動することにしたのですか-
ご縁があり、芸能活動を3年間させていただいた頃、芸能界やエンターテイメント業界に刺激が与えられる存在作りができたらなあと思っていました。新潟でつながりのある人がいたこともあり、新潟総踊りでまとまりがあって、東京からも近くて、子供たちの可能性に価値を感じた新潟へ15年前に移住しました。
地方創生をテーマとした子どもたちの教育事業みたいなことがやりたかったので2017年に「世界で活躍できる人たちを育てる」をテーマにCHIBIUNITYを生み出しました。子どもは明るい未来を作る存在です。僕たちは夢や希望を与えて、しっかりと育てていく責任があると思っています。
-そうやってチビユニティは生まれたのですね-
最初は新潟から世界なんて目指せるわけがないとばかにされましたが、初年度から世界大会に出て優勝しました。まずはダンスで豊かになるというモデルを新潟で作り上げていこうと、市民の皆さんに認知をいただき、活動の幅を広げてきた結果、世界大会で5回も優勝することができています。コロナ渦などいろいろな浮き沈みありながらですが、きちんと価値をつくりあげていっているなと思っています。
-新潟をモデルケースに?-
世界中からオファーをいただき、中国ではすでに4万人規模のライブを7回開催しました。カタールやドバイにも行っています。世界で売れないと意味がないと思っています。僕たちのブランディング力とかマーケティング力を活用できれば、多くの業者が世界で稼げるようになります。外貨を稼げるダンスタレントが地方から発信されれば、利益につながるじゃないですか。お金だけのことではなくて、ダンスで豊かになる街づくりをしたいんです。新潟がモデルとなり、今度は誰かが他の地域でこうした活動を始めてくれればと思います。
日本の文化や風土を生かしたダンス。世界へ向けて日本ならではの発信を追求している
-ダンスを活用して地域や社会を盛り上げるということですね-
チビユニティの柱は4本です。まずは「観光×ダンス」。僕たちはタレントをただ消費されるだけのものではなくて、海外まで舞台を広げて生涯の生業としてエンターテイメントに携わっていけるものにしたいんです。こうした形を日本国内で作り上げたい人も、取り組みに注目してくれるビックタレントもたくさんいます。そういった人たちのパワーやフォロワーを活用して、観光を潤していくこともできます。所属するタレントを世界へ売り出しながら、いろいろなことをやっていきたいと思っています。
いくらちゃんの質問に真剣に応える国友慎之助さん
-次の「〇〇×ダンス」は?-
「教育×ダンス」です。観光で利益を得られるようにするには教育も重要です。英語を喋れる方がいいし、ウェブシステムも整えた方がいい。中国の方はもうデリバリー文化です。例えば新潟のホテルで滞在中にウェブで特産物を知り、そこで全部買える、ホテルにいるうちに郵送してもらえるようにすれば、観光客が売り場に足を運ばなくても売れる。CHIBIUNITYは中国や上海にも拠点があるので、そこでポップストアを定期的に開催したり、僕たちの所属になっている中国のインフルエンサーにSNSで観光コンテンツを発信してもらったりできる。売り上げを増やせば、エンターテインメントで新潟を豊かにできます。
それを教育の投資に回したいと思っています。最近は習い事にお金を掛ける余裕がなくなってきていて、そうなるとダンスに触れて夢や希望を育むといった機会も減ります。だからこそ子どもにもっと投資する事業所が増えれば、素敵な世の中になる。僕たちが稼いで財団を運営したり、知名度を生かして寄付を募ったりして、投資する流れができれば、ゆくゆくは社会の利益になる。豊かな教育で新潟に移住したい人が増えれば、地方創生にもつながるじゃないですか。
エンターテイナーはいろいろな所に利益を生みだせる可能性があるし、新潟でモデルを確立できれば、ダンスの価値は普及できると思います。そういったことを形にしたいと、新潟の小学校、中学校、高校、専門学校を回って年間300回くらい無料でダンスクラスや講話を開催しています。きちんとしたダンスに触れたり、ダンスの価値を感じてもらったりするのが狙いですが、ダンスでどう稼ぐかもテーマにしていかないといけませんね。
-ほかにダンスと結びついているものはありますか?-
ダンスは体を動かすので、学術的・医学的な根拠も必要だと考えて、「医療×ダンス」も推奨しています。具体的には、大学と連携させていただいています。今年、新潟医療福祉大学さんにエンターテイメントダンス部ができました。僕らがダンサーを派遣して、教授と一緒に「この動きはここに作用しますよ」といった学術的根拠に結び付けます。データをとって論文で発表し、国に推奨してもらうことをやっていきたいなと思っています。ラジオ体操に次ぐ健康体操を作っていきたいなと。教育コンテンツに落とし込んで皆が楽しく取り組めれば、児童教育でも効果が出せると考えています。年配層と子どもが交流を深められる材料にもなります。国内ではストリートダンスの競技人口が600万人という推計もあります。人気のあるスポーツなので、医療とダンスの融合に魅力を感じて、この大学で学びたい学生も出てくるかもしれません。高齢化社会と医療従事者の減少といった課題の解決にもなるのではないかと動き始めています。
パフォーマンスの後にいきいきとした笑顔を見せるメンバーたち
-ほかにもダンスと関連したものはありますか?-
あとは「農業×ダンス」ですね。農業は今、危機的状況にあると思います。メンバーにも農家の息子、娘がいるので、保護者の皆さんから問題を聞いています。どれだけ頑張って作物を作っても、安い値段でしか出せないとしたら、量に頼ってしまい、品質が落ちてしまいます。品質が良くなければ海外で売ることもできないですよね。例えば日本のレタスの品質の良さを売り込むには、ある程度のストーリーやブランディングが必要です。でも農家さんは結局手が付けられない、従事できない現状にある。継承者がいない。農業は稼げないイメージも強い。農業で稼げれば、やる人は増えると思います。農業の現状は広く知られているので、日本を救いたくて農業をやりたい人もいるのではないかと思います。最近はタレントのローラさんが新潟で農業をやると言っていますけど、すごく効果があると思いませんか?
-確かにニュースを見たときに惹かれるものがありました-
こうした事例をアーティストにやってもらうのもいいと思います。そして、ダンスと掛け合わせる。僕がいま考えているのは、食育です。僕たちが回っている学校で、田んぼに稲を植えながらダンスをしようという話があります。それを僕たちがインスタグラムで発表してバズらせる。子どもたちはお米を栽培して、収穫して食べることをストーリーやYouTubeチャンネルで流してもいいと思います。こうすることで、農業に関する知識が広がっていきますよね。そして、アーティストが関わって発信していけば、面白くないですか?アーティストが育てたというブランディングもできます。ファンの人たちが買えば、農家さんは儲かります。こうしたことがアーティスト、エンターテイナーはできる。農家が年配層で後継者がいないと、高品質なものを作るまでの労力がない場合もある。その課題を解消するために、教育機関とも連携してブランディングを学べるようなことも考えています。
-ダンスにいろいろな可能性があるんですね-
自分たちだけが稼げればいいのではなく、街づくりにエンターテイメントを活用してくださいというのがあります。僕たち稼げます、なんですよ。皆さんに有意義な団体だというのを明確に作りたいと僕は思っています。
今までは日本で売れることを考えていなかったので、国内ではSNSくらいでしか活動を発表していませんでした。でも、3月に日本のテレビ局がアメリカの投資で制作した番組で優勝したので、必然的に国内での認知も広がるはずです。そうなれば僕たちの考える形を発表する場も増えます。それが日本のエンターテイメントのベーシックになるんじゃないかなって。日本の魅力を世界中に発表できる形ができてくるんじゃないかなと。もっと日本が利益を得て、国民が豊かに美しく、人が育つことを促していけるダンスカンパニー、エンターテイメントカンパニーになれればいいなと思っています。
2025.04.01 CONNECT