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臨時シャトルバスに乗り込む様子
旅の始まりは長岡駅の東口からでした。時刻は8:30で天気は夏らしい快晴です。朝早くだったため駅内はシャッターが下りていましたが、車や人通りがあり明るいスタートとなりました。班のメンバーと合流し、一日の流れを再確認します。
まず、目指すのは山古志闘牛場という長岡市の山にある闘牛場です。そこでは今日、牛の角突き大会が開催されます。闘牛観戦の後、やまこし復興交流館おらたるへ移動し昼食とお土産づくり、そして中越地震と復興の歴史を学びます。
そうしていると、闘牛場までの臨時シャトルバスが駅に到着しました。牛の角突き大会では、開催時間に合わせて駅と会場を結ぶ臨時シャトルバスも運行されます。料金は大人一人1000円ですが、予約不要で大会終了に合わせて復路のバスも走ります。私たちと一緒に続々と人が乗車していき、いよいよ旅が始まります。山古志闘牛場へは、長岡駅からバスで40分ほど。道中は美しい山中の景色を眺めながら、私たちは期待に胸を膨らませました。
移動中の山中
闘牛場入り口のオブジェ
バスから降りると、夏の熱気が私たちを包みました。山古志闘牛場は長岡市の山中にあります。山の湿気と夏の暑さが作る空気は、これから始まる闘牛観戦への気持ちをさらに盛り上げました。
大会の始まりは取り組み前の厳かな清めの儀式からでした。フィールドをぐるりと一周しながら塩と御神酒を撒き、牛も人も一緒に清められます。御神酒を紙コップに注ぎ、手に馴染ませたあと残りを口に含んでから入場する姿を見て、この催しが単なる娯楽ではなく、土地に根ざした文化であることを強く感じました。牛の角突きは国指定重要無形民俗文化財にも指定されているものです。1000年以上とも言われる歴史の神聖さを感じることができます。
御神酒を受け取っている様子
実際の取り組みが始まると、その迫力に圧倒されました。若い牛はツノを押し合わせるようにして、まるで遊んでいるかのように押しては引いてを繰り返します。一方で経験を積んだ牛は、相手のツノの下に潜り込むように押し込んだり、横から入り込んで押し出したりと、明らかに戦術的な動きを見せます。牛同士がアイコンタクトを交わし、まるで意思疎通しているかのように見えた瞬間もありました。
角突きの様子
特に印象に残ったのは、最大重量1トンを超える「むさし」という牛を、相手の「鷹山」が一瞬浮かせた場面です。会場全体がどよめき、牛たちの力強さと賢さをまざまざと感じました。戦いの最中には、勢子(せこ)と呼ばれる人たちの掛け声や動きも熱気をさらに高めます。「よしたァー!」という大きな掛け声、牛を鼓舞する姿、引き分けの際に素早く縄をかけて引き離す所作のどれもが一体となって場を盛り上げていました。
角突きの様子
観戦後には、屋台で山古志産和牛の串焼きを味わいました。脂が口の中で溶けるようでジューシー、弾力がありながら柔らかく、香りも豊か。ご飯と一緒に食べるよりも、肉そのものをむしゃむしゃと頬張るほうが美味しいと思えるほど、贅沢な一串でした。
闘牛の迫力と文化的な深み、そして地元の味覚。すべてが合わさって、忘れられない体験となりました。
やまこし復興交流館おらたるの入り口
次に私たちは闘牛場から2kmほどの場所にある「やまこし復興交流館おらたる」へ向かいました。平日には「クローバーバス」というバスに乗って交流館まで行くことができます。土曜日は一部運休、日曜日・祝日は運休であるため注意が必要です。また、一部の時間帯は予約便となっており、予約することでより自由な時間に山古志を移動することができます。
観光施設では、まず昼食をとったあと、2チームに分かれて行動しました。片方のチームはお土産作り、もう片方のチームは館内の中越地震についての資料展示を見学です。
お土産作りはボンドとハサミが必要でしたが、お店から借りられたので手ぶらでできるところがいいなと思いました。作り方も簡単で5分程度で作れたので小さいお子さんも楽しめる印象です。震災復興として米国の牧場から山古志へ贈られて以降、地域外からも人気を集めるアルパカの毛が使われているため、自分の手で作ったという体験も含め、山古志に行った思い出としてぴったりです。
お土産と記念写真
また、復興交流館の2階にある展示室には、地震発生時刻で止まった時計やひしゃげた家電、大規模な地滑りの写真などが並んでいました。災害の爪痕をそのままに伝える資料が並ぶ一方で、強く印象に残ったのは「復興への意思」でした。展示は被害の記録以上に、震災から立ち上がろうとした人々の想いや当時の姿を伝えることに重点が置かれているように感じられます。柱には、山古志で生涯を終える覚悟や、山古志の再生の一歩についての言葉が書かれていたり、山古志の方々が全村避難する瞬間や、避難所でも協力し立ち上がって暮らす写真が数多く展示されており、被災から復興、現在に至るまでの力強い足取りと人々の様子がわかります。
また、館内にはプロジェクションマッピングを用いた中越地震の解説エリアがあります。山古志を俯瞰するような立体地形模型とそこに投影されるムービーとにより地形が分かりやすくなっていました。特に、山間部の斜面の険しさと地滑りの様子は、平面で見るよりはるかに深刻に感じられ、被害規模の大きさをよりリアルに知ることができました。短い時間ではありましたが、地域が歩んできた復興の過程に触れ、災害を風化させないことの大切さを改めて考えさせられました。
復興交流館内
見学を終えた私たちは長岡駅へと向かい、そこで解散となりました。長岡駅へは、クローバーバスとJRバスを乗り継ぐことで向かうことができます。
朝から盛りだくさんの一日でしたが、闘牛の迫力や観光施設での体験、復興交流館での学びなど、それぞれが心に残る時間を過ごせたと思います。闘牛のイベントは一度として同じ試合は無く、何度も見に行きたくなる迫力でした。また、震災の記録と復興の歩みを目にしたことは、日常の当たり前がいかに大切かを考えるきっかけとなりました。中越地震から時がたっても、決して風化するままにしてはならない記憶だと強く感じました。
山古志の自然と文化、そして歴史を知り、体験することができる日帰り旅です!ぜひ、皆さんも訪れてみてください!