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(今回インタビューに答えてくださった、中村さん)
―中村さんは、野菜ソムリエの資格を取得していると聞きました。野菜ソムリエを取得しようと考えた理由を教えてくだい。
中村さん:私は専門学校を卒業した後、早い段階で自分自身が手がけたメニューを提供できる機会がありました。しかし私の実力不足から、思い描いていたようには進みませんでした。その後2年くらいたった時に、同級生は料理の修行に行って段階を踏みながら、日々成長している話を聞くようになりました。私は卒業後、修行に行くのではなく独学で進めたことや、物事がうまくいかないことから、悶々とした気持ちを抱えるようになりました。
そんな中、修業に行って成長している同級生に勝てる私だけの武器は何だろうかと考えました。その結果、直売所の近くでカフェをやっていたこともあり、カフェには主婦の方がたくさん来る、それなら主婦 の喜ぶ野菜の知識をつけたいと1年かけて野菜ソムリエの資格を取りました。
野菜ソムリエはワインなどのソムリエとはまた違って、情報発信をする役割が大きいんです。例えば「柏崎ならこういった野菜がある」というような地域特有の野菜を広めていく人でもあります。こういった役割を学ぶことが出来る講習もあって、そこから私は地産地消にどんどんはまっていきました。
―出身が柏崎ということですが、柏崎の好きなところはどんなところですか。
中村さん:お店をやっている人同士の距離が近い事です。私は、柏崎はもっともっと発展していかないといけないと思っていて、市外からも観光的な意味でもお客さんを増やしたいなと思っています。やれることがたくさんあるからこそ、事業をやっている人同士のやり取りが活発で距離が近いなと思いますね。こういった環境は、チャレンジをしている自分にとってはありがたい環境だと思います。
―中村さん自身は、柏崎をどんな街にしたいですか。
中村さん:柏崎には大学は2つあるのですが専門学校は1つもなく、専門学校に行くとしたら市外に出なければならなりません。柏崎に戻ってくる理由も今は少ないので、地元でのチャレンジが難しい街だと思っています。だから「チャレンジがしやすい街」に変えていきたいですね。
お店を始めるハードルはすごく高いので、周囲の人が心配から否定的な意見を言うことが多いと思います。私もそういったことは経験しているので、自信をもって背中を押してあげられるような空気感にしていきたいなと思います。自分が柏崎で生まれ育ったからこそ、強く感じることがあります。
―お店の力を入れている部分はどこですか。
中村さん:地産地消です。これが圧倒的なキーワードです。
(手作りのポップと地元で採れた糸ウリ)
(お弁当メニュー)
(ビビンバ丼)
―商品では、どのくらい地元の食材を使っているのですか。
中村さん:(商品の)7割から8割は地元の食材です。(地元産の)お米が入っていることによって7~8割になっています。
―店内のこだわりはありますか
中村さん:お店は柏崎出身の人にお願いして作ってもらいました。基本的に自分のことを応援してくれている人に頼むことが多いです。発信の役割も含めて、違う地域から(イベントなどに)呼ばれた際には、積極的に出店するようにしています。自分がイベントに出店することによって、柏崎にこういった店があることを知ってもらい、柏崎に来てもらう人が増えたらいいなと思っています。
―「THERE IS NOEND」というお店の名前の由来は何ですか
中村さん:直訳で「終わりなき」という意味もあるのですが、私が持つ地産地消のビジョンとして『今日の「食べる」を、まちと未来のエナジーに』というテーマがあります。普通お弁当を買う時は、お腹がすいたからエネルギー補給として買うだけですが、ここの弁当を食べることで自分のエネルギーを補給するプラスαを生み出しています。
例えば、地産地消は直接的に(地元の)農家さんのエネルギーになります。地産食材をたくさん使えることで農家さんのためになったり、柏崎にもオシャレなお弁当に野菜を使用することで若い人に興味をもってもらい、継業や新規就農などに繋がり、柏崎産の野菜を残していくことが出来るとも考えています。単純なエネルギー補給ではないということです。
もう一つ、THERE IS NOENDを発音してもらうとわかると思うのですが、NOENDには農園がかかっていて、『そこに農園あり』という意味になります。調理してお弁当にした後も、農園を感じるようにという意味が込められています。
(お店の表札)
―お店の名前はひとりで考えたのですか。
中村さん:そういうのはひとりで考えましたね。
―すごいですね!どのくらいの期間で思い浮かびましたか。
中村さん:パッと思い浮かびました。私はそういうのが得意なので(笑)。
―このお店を立ち上げるのに至った経緯を教えてください。
中村さん:最初は母親の経営する花屋の隣でカフェをやっていましたが、その後野菜ソムリエの資格を取ったので地産地消をテーマに経営しようと思いました。近くにJA柏崎愛菜館があって、買い物をするときはここに来るようになりましたね。当時は、カフェのみの営業だったため買う量もそこまで多くありませんでした。愛菜館に来て、買いたい食材がなかったら買わなくていいかと思うくらいでした。
ただ、通い詰めているうちに、もっと多くの人に来てもらえたらいいのに、と思うようになりました。愛菜館は若い子が来るような場所ではなく、年配の方が「野菜が安いから」という理由で買い物に来るような感じでしたね。もっと主婦層の方が来ればいいのに」と思い、外部の人間にも関わらずJAの方に思いを伝えに行きました。こういったことを重ねているうちに「熱い思いがあるのだったら一緒にやりませんか」とお声をかけていただきました。
しかし、当時のJA柏崎では外部に委託することは初めてで、契約をすることに長い時間を費やしました。お声をかけていただいてから半年かかってやっと契約が出来ようやくスタートといった感じでしたね。2月末から店を始める準備をし、2020年の3月末にオープンすることが出来ました。
(インタビューを受ける中村さん)
―長嶋さんとのつながりを教えてほしいです。
中村さん:長嶋さんとは専門学校の同級生です。一緒に授業を受けたことはないのですが、卒業して3・4年後もこの業界の仕事を続けている人は、両手で収まるくらいの人数しかいないんです。結婚を機に辞める人もいます。続けている人の中でお店をやっている人はその中のさらに一部しかいません。
長嶋さんは実家のすし屋を継いでいて、私も母親のところで経営して四苦八苦しているところを長嶋さんが遠くから見ていたのだろうなと思います。そういうこともあって、数少ないこの仕事を続けている同級生としてお互いにリスペクトしあっています。
―中村さん自身、40歳までにやりたいことや死ぬまでにやりたいことなどはありますか。
中村さん:やりたいことはやり終えて一生を終えたいと考えているので、何をしたいとか具体的なことはないのですが、やり残さないようにしたいなと思います。基本的になんでもやってみたいと思うので(笑)。
死ぬまでにやってみたいことは、大学に入ることと社会人を経験することです。私は、専門学校を卒業したので大学に入ったことがないので入ってみたいです。社会人を経験することは、私は専門学校を出てすぐにお店に入ってしまったので、就活のような面接等を経験してみたいと思います。
今までやってこなかったことをやってみたいという好奇心はすごく大きいです。
―やりたいことをやる!という考えは昔からあったのですか。
中村さん:実は人前ではとても緊張するタイプで、今でも同窓会があったら緊張しますね。昔から自分の意志は持っているけど、それを集団の中で言うことが出来ないのです。その反動で、自分のお店をもった時に自分の意志を解放している感じですね。充実感や幸せを積み重ねていくことが出来れば死ぬときに後悔することはないのではないかなと思います。
私がいつも思っていることは、代わりの利かない人生にしたいな、ということです。「自分」ではなかったら、今進んでいる人生ではなかっただろうな、といった感じに最後を振り返りたいですね。ことの大きさではなく、やってよかったな、失敗したけれどもやってよかったなと思うことを積み重ねていきたいと思います。
―大学生に向けてメッセージをお願いします。学生時代にやっておいたほうが良い事や、やってよかったことはありますか。
中村さん:やりたいことはやってほしいです。自分の手触りで感じることがすごく大事です。20代はいろいろなことにアンテナを張ることが大切です。20代のうちにアンテナを張っておくことで30代や40代の過ごし方が変わってくると思います。やりたいと思う好奇心は閉じ込めないでほしいです。その結果、代わりの利かない人生になると思います。自問自答を繰り返して年を重ねていくと思いますが、最後に死ぬときに、みんな『この人生でよかったな』という風に言うと思うのだけれど、その言葉が自分を納得させるために言っているのか、それとも本心で思っているのかだと大きな違いがあると思います。
柏崎の魅力が詰め込まれたお弁当を、皆さんもぜひ味わってみてはいかがですか?
■THERE IS NOEND
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