まじわる
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―大衆演劇はいつの時代からあるのですか?また、どのようなものなのでしょうか?
逸見さん:歴史はだいぶ古く、江戸時代ぐらいからあります。
大衆演劇をどのようなものか例えると、サーカスのテントがビッグスワンに来て、何日か公演をするイメージはありませんか?
サーカスの人たちは、各地を転々としながら、1ヶ月くらい滞在してパフォーマンスをしているのですが、大衆演劇もそれに近いものがあります。
大衆演劇の劇団の人たちは、約1ヶ月間、公演地にとどまって、毎日違うお芝居と舞踊ショーを開催するという旅回りの巡業公演を行います。
主にお芝居は時代劇などの演目を中心として上演しています。
―なるほど。毎日違う演目ということにとても驚きました。しかも、昼と夜で1日に2回公演があるのですよね。
逸見さん:劇団によって昼夜同じ演目か否か違いはありますが、次の日は違う芝居になります。
今いらっしゃる凰翔座(おうがざ)さんは、昼も夜も違うお芝居をやっていますね。
―1ヶ月間、毎日違う公演を行う訳ですが、演者さんたちはどうやって数多くの公演のお稽古をしているのですか?
逸見さん:公演の合間合間ですね。昼の公演を控えた今も舞踊ショーの稽古をして、夜の部の終演後に、翌日のお芝居の稽古や新しい演目の稽古をしています。日によって違いますが、2,3時間することが多いかもしれません。積み重ねが大事です。
舞踊ショーの様子
―大衆演劇の楽しみ方は様々だと思いますが、おすすめはありますか?
逸見さん:そうですね、まず一般的には先ほど申し上げた通り約1ヶ月で劇団さんが変わります。
2月(取材当時)は凰翔座(おうがざ)さんですが、3月は駒三郎(こまさぶろう)さんに変わります。劇団ごとにガラッと色が変わりますので、その違いを楽しむのも1つです。劇団ごとにもそれぞれ色があって、毎日違うことをやっているので、1回見ただけではその劇団の魅力はなかなか伝わりづらいものです。今日はかっこよかったけど、翌日は泣ける芝居とか。
1ヶ月間やっているので一度と言わず、ニ度、三度足を運んでいただけると、より楽しみや奥深さがわかってきます。また、役者の人たちもみんな気さくな方が多いので、来てくれてありがとうってお客様のことを覚えてくれます。
―覚えて下さるのですね
逸見さん:はい。何度か来ていると覚えてくれますね。
あと、舞踊ショーの時にすごく目を合わせてくるのでちょっとドキッとされるかと思います。
―それはぜひ体験してみたいものですね…演芸場の前に置いてあるチラシに書いてあった、ファンの集いというのは劇とは違うのでしょうか?
逸見さん:ちょっとしたお楽しみ会・食事会、みたいな感じです。
他にもどの役者が好きかをお客様で投票し合うとか、劇団さんが趣向を凝らして、毎日来ても観客の皆様が飽きないようにいろんなイベントを考えて公演をしていますね。
―お芝居や舞踊ショーだけでなく、そういった企画もあるんですね!
―古町演芸場はどんな背景があって建てられたものなんでしょうか?
逸見さん:古町演芸場は約20年前にオープンして今年で開業20周年になる予定です。オーナーさんが浅草にある「木馬館」という場所で大衆演劇を見たときにとても感動して、新潟にもそういったお芝居小屋みたいなのを作りたいと思ったのが始まりだと聞いています。
オーナーさんはとてもエンターテイメントが好きな方で古町にあるライブハウスなどが入っているビルも運営されています。そういったつながりから始まったと思います。
―大衆演劇がみられる劇場や施設は他の都道府県などにもあるようですが、この古町演芸場がほかの劇場と異なる特徴や魅力はどんなところですか?
逸見さん:「電子チケット」ですね。インターネット上での決済を導入しているというのは他ではあまり聞かないです。
導入した目的は、利便性です。後は若い層の人たちがやりやすいようにというか
昔に比べても若い層の人が明らかに増えていますね、大衆演劇を観劇
する層がまだ年配の方が多いため電子チケットは一般的とはいえません。だから今は電子チケットと併用しているっていう感じです。
―現在、運営や施設の維持等で直面している課題等はどんなことがありますか?
逸見さん:まずはさっき述べたように古町演芸場が20周年を迎えるので施設の老朽化が結構厳しいですね。それから光熱費の高騰でかなり経費が膨らんでいるので大変だなと感じます。あとは集客ですね。若い人たち向けにSNSで発信を続けたり、劇団のPVや動画を流したりするんですけど、なかなか興味のありそうな層に届いてないのかなと感じています。
―古町演芸場を運営するにあたってのやりがいはありますか?
逸見さん:自分はもともと演劇が好きで、もう一つ「えんとつシアター」という劇場も経営しています。大衆演劇はほぼ毎日公演をしているので、毎日自分の身近に演劇があるということがやりがいになっていますね。あとはやっぱり演劇を見て喜んでくれるお客さんを見ると嬉しくなりますね。
―古町演芸場が今後どんな場所になってほしいですか?
逸見さん:そうですね、やっぱり親子・孫と三世代で楽しめるような劇場を目指しています。
※インタビューに答えていただいている様子(左:逸見さん 右:学生メンバー)
ここまでは古町演芸場の支配人である逸見さんにお話を伺ってきましたが、次は1月2月と古町演芸場で公演を行っている劇団凰翔座(おうがざ)座長の三ツ矢洋次郎さんです!役者さんから見た古町演芸場の魅力はどんなことがあるのか聞いてきました!
―古町演芸場で公演を行うのは何回目ですか?
洋次郎さん:今の劇団(凰翔座)になってからは3回目です。
―公演をするごとにここが変わったなとか客層に変化はありますか?
洋次郎さん:古町演芸場は若いお客さんが増えてきたなという感じはありますね。特に10代20代のお客さんです。年配の方の来場が減少していて若い人が目立つということも無きにしも非ずです。特にこれまでの大衆演劇では年配の方が多いイメージがあるかもしれませんが若い人が増えることは悪いことではないですから。
※凰翔座 座長 三ツ矢洋次郎さんのインタビューの様子
―古町演芸場の好きなところはどこですか?
洋次郎さん:お芝居がやりやすいですね。会場の大きさもちょうどよくてあとお芝居好きなお客さんが多いと感じます。
大衆演劇はお芝居と舞踊で分かれているので好みが分かれていて、お客さんによって好みが分かれるんですよ。お芝居が好き、舞踊が好き、舞台に出ている役者さんが好きとか。
でも今は結構舞踊が好きな人が多くなってきているんです。お芝居の題名を「外題(げだい)」っていうんですが、「このお芝居やります!」っていったときにそのお芝居めがけてお客さんが来てくれるっていうのはやっぱりうれしいですね。
僕たち役者からしたら踊りも頑張っているんですけど、やっぱりお芝居も見てもらいたいなと思います。若い方にはお芝居がメインで足を運んでくれるお客さんが多いので、すごくうれしいなと思います。
※舞台上での洋次郎さんの姿(女形)
今回の取材では逸見さんの演劇に対しての思いや、役者さん目線の貴重なお話を聞くことができました。大衆演劇は1か月ごとに公演先が変わるのもまた面白い魅力の一つです。今回取材を受けてくださった凰翔座さんは3月は関東へ、そして4月にはまた新潟の土地に戻ってくるそうです!
そして古町演芸場も3月は新たな劇団さんを迎えての公演が開催しています!大衆演劇を今初めて知ったという方も、気になっていたけど勇気が出ないという方も新潟古町演芸場で「生の舞台」を経験してみませんか。
■古町演芸場
〒951-8063 新潟県新潟市中央区古町通6-697
TEL:080-9889-0559
公式HP: https://furumachiengeijyo.icticket.jp/event/list
2024.09.11 JOIN