まじわる
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3年前に神奈川県から三条市へ移住し鍛冶職人を志す稲垣さんは、小学生の頃にテレビで包丁づくりの様子を見たことがきっかけとなり、鍛冶の世界へ踏み入れることに。
「火をうまく扱いながら刃物を制作していく過程を見て、男の子だからちょっと火遊びがしてみたいと思ったんですよね」と当時を振り返る稲垣さんは、中学・高校時代には、岐阜県関市や高知県土佐市など、刃物の産地として知られる地域に自ら出向き、刃物のイベントや体験に参加するようになりました。三条もその一つ。各地の事業所を訪れ見学を繰り返す中で、若手職人の育成を目的とした研修制度のある三条市で修業を積むことを決めました。
現在、稲垣さんは三条製作所で主に日本剃刀を製造しています。外国の床屋からの人気も高いという日本剃刀ですが、職人が目指す良い剃刀とは一体どのようなものなのでしょうか?
それは「切れ味と肌感の良さ」が長けているものであるとのこと。剃刀は使っていくうちに切れ味や肌触りが悪化していってしまいますが、造りの良いものは歪みが少なく常にしっかりと肌に密着させることができ、そのためには、人々の肌に触れることを特に考慮する必要があります。剃刀には繊細な造りが求められ、難しい作業も多くありますが、稲垣さん曰く、「難しい部分が面白い」。やっているうちに段々できるようになり、1回目に分からなかったことが2回目に分かり、2回目でも分からなかったことが5回目になると分かる。繰り返していくうちに出会う発見こそ、剃刀だけでなく、ものづくり全般における「面白さ」であると言う稲垣さんの言葉は強く印象に残りました。
三条製作所で日々作業を共にしている親方の水落良市さんは、とても優しい人で毎日色々な話をするそうです。「親方」と聞くと厳しいイメージが浮かぶかもしれませんが、製作所の雰囲気は温かく、地元を離れ一人暮らしをしている稲垣さんにとって、今では誰よりも親方といる時間が長いものであるそうです。
移住して3年。故郷神奈川県の人におすすめしたい新潟の良さは「食べ物がおいしいところ」であり、特にコメと酒はおいしいと答えた稲垣さん。反対に、移住生活で困ったことは「雪の多さですね。冬は一仕事増えてしまいます(笑)」とのこと。
そんな新潟、三条でのモノづくりを通して、最後に稲垣さん自身の将来の展望を教えてくれました。
「もっと仕事をできるようになって、今後も剃刀づくりを継続していき、平凡で良いからここの仕事で生活していきたいですね。家族を養えるくらいになればいいかな。」
第2回の連載は神奈川県から移住されてこられた若手職人の稲垣良博さんに迫りました。私たちと同年代である稲垣さんとの交流を通して、三条の職人さんに親しみを感じることができました。
次回第3回目の連載は三条鍛冶道場で私たちが体験したペーパーナイフづくりについてレポートします。是非ご覧ください。(第2回おわり)
三条製作所
〒955-0852 三条市南四日町2-19-19
TEL:0256-33-1361
FAX:0256-35-1304
2024.09.11 JOIN
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