まじわる
JOIN
JOIN
(沼垂ビールの外観)
高野さん:マイクロブルワリーは、「小さな醸造所」という意味です。個人的には、「マイクロ」という言葉とセットで「ローカル」と「クラフト」があると理解しています。「ローカル」にいついては後々お話しますが、要するに、にいがた鮭プロジェクトさんが頑張っているように、自分も新潟の魅力を伝えていかないといけないと考えています。
中濱:よく耳にする「発酵の街、沼垂」という言葉は、実は高野さんが発案だそうです。
高野さん:2015年の秋、マイクロブルワリーとビアパブを立ち上げるときに、「発酵の街、沼垂」という言葉を使い始めて、定着させてきました。この言葉は、沼垂の歴史の中で、酒造りが地場産業だったことに由来しています。大量生産して日本中に届けるのではなく、手作りの良さを生かしながら、沼垂の地域ブランドを意識して、沼垂ビール自体のブランディングもしていきたいという思いをもってクラフトビールを作っています。
中濱:クラフトビールのつくり方を習いに来る方もいるそうですが…
高野さん:クラフトビールを習いに来る人には、ビールを通じて何をしたいかというビジョン、主体性、希望を考えてほしいと思っています。
こだわりは空間づくりから~沼垂の魅力を伝えるために~
(歴史ある沼垂の街に合う古民家風の店内)
(個性的なラベルもこだわりの一つ)
高野さん:店内は、沼垂の雰囲気をイメージした空間づくりや、ビールのラベルにこだわりました。ほかでは味わえない雰囲気でしょ?どうしたら、単にビールを販売するだけではなくて、ビールと一緒に新潟、あるいは沼垂の良さを伝えることができるかを考えて、細部まで試行錯誤しています。
高野さん:私は7年前くらいまでずっと東京にいました。38年間、新潟を離れていたんですね。
(中濱・灰野:お店は実家だそうです)
高野さん:そういうことなので私も「鮭」です(笑)。地元の大学を卒業後、縁があって大阪の銀行で働きました。その後、退職して、ベンチャー企業の立ち上げを繰り返しました。私の中で企業を立ち上げること自体はあまり抵抗がなかったので…。それと、東京のアメ横とか阿佐ヶ谷パールセンターとか、地域の商店街の活性化のためにアーケードやショッピングセンターを作る仕事をしていました。
中濱:この時の経験が沼垂で起業化をされた高野さんにつながるわけですね!
高野さん:55歳を過ぎてから、これからの働き方について考え直したことをきっかけに沼垂に帰ってきました。しかし、正直言って、新潟で仕事に就くのは難しいと考えたので、起業化しかありませんでした。そこでまず、どういうビジネスがあるかを考えましたね。いろいろ思いつきましたがどれもピンときませんでした。
(高野さんがゼロから立ち上げたビール醸造設備の一つ)
「これだ!」ゼロから始めるこだわりのマイクロブルワリー!
高野さん:7,8年ほど前にマイクロブルワリーの存在に気づき、日本酒や味噌・醤油などの発酵食品製造を地場産業としていた沼垂の歴史にあっていると感じてゼロから始めました。それから、一年半ほどで免許を取得しました。最初の三年間は東京と新潟を往復しながら、ブルワリーとビアパブを運営してきました。特に、醸造所付きのビアバーにはこだわりました。新潟駅から徒歩20分のまちなかで、250坪という敷地の中でビールを作って提供できる、その場で飲めるということが大事なんです!
(中濱・灰野:実際に遠くからお客さんがこの場に来てくれているそうです!)
高野さん:最初はお金を節約するためもあって、設備などを一つ一つ勉強して、設計から材料や設備の調達、配管まですべて自分でやりました。PCサイトの作成も自分で手掛けましたね。
中濱:びっくり!めちゃくちゃ大変そうですけど・・・
高野さん:大変ですけど、慣れてしまえば楽しいもんです。
中濱:ひょえー!!やばいっすね
高野さん:休日になると、北海道、関東、関西と、日本中からお客さんが訪れてくれます。県外のお客さんに比べると、新潟県内のお客さんはもっと来てほしい思います。
沼垂の活性化に尽力する人たち
中濱:すぐ隣には沼垂テラス商店街がありますが、商店街とはどのような関係性なのですか?
高野さん:商店街組織には入っていません。
中濱:エリアが違うんですね。
高野さん:だからと言って全く関係ないということではなく、商店会組織とはまた違う、沼垂ストーリー形成連絡会」という任意の団体を作り、そこに沼垂ビールも沼垂テラス商店会さんも入って連携した活動を行っています。この団体では、新潟市や新潟県の協力を得て、新潟駅から沼垂までの看板を立てたり、YouTubeに動画をアップしたり、「おとかも ~OTOKAMO~」という音楽イベントを開催したりしています。とにかく、沼垂のにぎわい創出には、地元で活動している企業や商店会が連携して活動していることを知ってほしいと思います。これからもよろしくお願いします!
(種類豊富なクラフトビールのメニュー)
中濱:今回の取材のテーマが「まじわる」ということで、沼垂ビールを、この場所をどのような存在にしていきたいですか?
高野さん:私自身が実感していることなのですが、物を作れるという機能があるというのは、ものすごいパワーになるんですよね。今後も生き残っていくためには、やはり「自分で作る」という付加価値が必要だと思います。
たとえば、佐渡産の番茶、新潟市南区のル・レクチエなど、いろんな方とコラボして自分でレシピを考えて、商品開発して、自分で思い通りのクラフトビールを創れるということなんです。ここに、コラボをする人たちとの「まじわり」があります。また、もう一つ例として、ブルワリーの裏にあるホップ畑で育てる「ホップ」も「まじわり」の象徴です。
自分たちでホップを育てて、それを使ったクラフトビールのレシピをみんなで考えて、それをみんなで飲むイベントを開催しました。作る機能とまちなかで人が集まりやすい場があるから成立した「まじわり」の形ではないでしょうか。
最初は思い描いてなかったけれど、クラフトビール作っているということをきっかけに、いろんな方から、「一緒にイベントを企画しませんか?」とか「こういうイベントをするので、こんなクラフトビールを創れないかしら?」とか・・・わたしにとっては、クラフトビールがさまざまな人との「まじわり」の機会を作ってくれています。(沼垂ストーリー形成連絡会が立ち上げたユーチューブ「沼垂チャネル」の「第2回 発酵の町沼垂ビール」では、まちなかのマイクロブルワリーの魅力を伝えています。
(https://www.youtube.com/watch?v=F6aSYssqUDs)
沼垂街歩き第2回目の次回はゲストハウス「なり-nuttari NARI-」さんをご紹介します。
編集後記
高野さんは、勢いのある方で、短い取材時間でしたが、かなり多くの情報が私、中濱に飛び込んできました。少しばかり記事が長いように感じられますが、今回の取材ではどうしても読者のみなさんに伝えたいことばかりでした。長ったらしく感じる記事の量をもって、サービス精神旺盛な高野さんの人柄と、中濱がいかに心を動かされたかということを実感していただけると思っております。
取材後、クラフトビールを2種類いただきました。瓶を開けた時の香りに誘われて、思わず瓶の口をそのまま口元へもっていき「グビッ」と飲んでしまいました。個人的にはどちらも特徴的な味わいでありながら、すっとのどを通っていくような飲みやすさがありました。「恋すてふ」というビールの方は、比較的甘さがあるように感じられ、食後に飲むお酒としても大抜擢だなと感じました。味の感じ方や、好みは人それぞれです。ビールが好きな人はもちろん、「まだ苦手かも」という人こそ、楽しめる場所だと思います。
(中濱)
■沼垂ビール・マイクロブルワリー
住所:〒950-0075 新潟県新潟市中央区沼垂東2丁目9−5
WEB:https://nuttaribeer.co.jp/
TEL:025-383-8720
2024.09.11 JOIN
2024.05.03 JOIN