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2024.10.30

新潟県×にいがた鮭プロジェクト 学生が企業の魅力を発見!~第1回 株式会社イードア 新潟支社~

―新潟県連携事業―企業の魅力発信・学生取材チーム
新潟県には、まだまだ学生に知られていない魅力的な企業がたくさんあります。
にいがた鮭プロジェクトでは、新潟県と連携し、学生の目線で企業の魅力を発信していきます(全6回)。
第1回目は、DX支援や地域のイノベーション支援を行っている、イードア新潟支社 支社長の石川翔太さんにお話を伺いました。

〈プロフィール〉

イードア新潟支社長 石川 翔太さん

 

ベンチャー・スタートアップ企業を中心としたコンサルティング(事業開発・経営理念策定、組織開発など)をはじめ、企業/行政/学校法人などへのイノベーションをキーワードにした事業プロデュース/コンサルティング業務に従事。

2020年10月、新潟県‧新潟市より誘致を受け、新潟イノベーションオフィスNINNO内に新潟支社を設立。新潟の企業と人の価値を日本、世界に届けるための活動を開始。21年1月より新潟大学伊藤准教授と起業家のプロセスモデリングについて共同研究推進中。新潟を「攻め」で選ばれる場所に、地域を戦略的に捉えるために活動。

 

 

1.イードア新潟進出と新潟の魅力

 

イードアの本社は東京にあり、現在支社は新潟のみであるが新潟を支社として設立しようと思った経緯について教えて頂きたいです。

 

2020年の10月に新潟に来ました。当時、新型コロナウイルスのタイミングでこそやれることがあるのではないかと思いました。

ただ、新潟に来た当初は縁もゆかりもなかったため模索の連続でした。企業にお話しても「新しいことのためのコンサル会社。そんなのいらない」と言われることも当然あり、どこまでやり続けられるか、私たちの新潟における価値を問い続ける日々でした。

 

では、いらないって言われたことをどう捉えるのか。

既に多くの事業者がいるレッドオーシャン故に“いらないよ”と言われているのか、それともまっさらなブルーオーシャン故に“いらないよ”と言われているのか、その2パターンになるかなと思います。

当時の新潟は後者であり、そもそも海すらほぼないような。これから創られ始めるような場所でした。

 

わたしたちはその海(マーケット)をつくりに行く1社になることを目的としていました。当時、新潟は起業家率も下から数えて全国5番目以内であり、新しいものが生まれづらい環境であるといわれており、挑戦する価値があると思いました。

 

 

IT企業が新潟に進出する際にサポートする機会も多いとのことですが、東京にあるIT企業が新潟で働く良さはどこにあると思いますか。

 

やっぱり新潟の人たちは新潟が好きなんですよね。「アイシテルニイガタ」という旗が街中にあるし、テレビをつければ「大好き!にいがた!」という曲が流れていたりもする。新潟に来た当初、びっくりしました。東京では「アイラブ東京」なんて言っている人は外国人ぐらいですからね。すごくいいなって思いました。それはビジネスの中でも強さになっていて、「新潟が好き」という点が一致していると、方向性がそろうんです。新潟を良くするにはどうしたら良いかという点で足並みがそろいやすくなります。例えば東京だったら、全国を目指している人がいたり世界を目指している人もいたりと、バラバラになって足並みはそろいにくいんです。でも新潟では、新潟のためにというところに本気の熱量を出せば、共鳴してもらえる環境があります。

 

また、新潟は東京へのアクセスもいいので、東京に用事があればすぐに行くこともできるし、僕が生活をしている感覚として、新潟も東京もそんなに変わらないんじゃないかと思っています。

 

 

県外から来られた石川さんが新潟で頑張れる原動力は何ですか。

 

新潟の人が好きだからです。僕は今新潟を故郷だと思って仕事しています。僕が東京の大学生だった頃、友人たちはいろいろな県から集まってきていて、休みになると帰省していました。僕は東京が実家だったので、その感覚がうらやましかったんです。今は故郷があって、「帰る」場所がある感覚です。新潟でお世話になっている人たちや子どもたちの世代のために、ということを僕は本気で言えています。東京で仕事をしていた時は、社会のために、日本のためにという枠組みが大きすぎて、ちゃんと想像できていなかった時もあったのではないかと思います。その点、新潟では手触り感があるし、皆が仲間という感じがします。僕は、新潟にはまだまだ眠っている可能性が多くあると思っています。

 

 

新潟県内の学生が新潟県内に定着したくなる取り組みや、新潟県出身の県外学生が(新潟県に戻る)Uターンしたくなる取組みについて(自社の魅力発信等)教えてください。

 

Uターン施策って短期的なものになりがちです。その時の金銭的な都合に訴えるか、イベント的に情報を提供するかなど。そうではなくて、新潟県内に定着したくなるような取り組みというよりは、単純に面白いような場所/人がいれば勝手に人が集まってくるという考えです。面白い人/企業が多くあり、その接点が生まれれば、新潟県民も愛郷心があるので自然と戻ってくる気がします。そのための接点創出であったり、短期ではなく中長期の人間関係性の創出ができればいいのではないかと思っています。

 

私たちが掲げている「産産官学」は、地元の企業、地元ではない企業、そこに官と学を融合して社会課題を解決することを目指しています。今まで地元目線しか持てていなかったところに、外の企業が中に入ってきた時に起こる化学反応が面白いんですよね。私たちはそこで生まれることにワクワクして挑戦し続けています。

 

 

2.「地域を戦略に」に迫る

 

クライアントと信頼関係を築くために心掛けていることはありますか。

 

まず、正直さは大切だと思っています。また、地域の考察をしっかりと行い、何が新潟のために、企業のためになるかということは常に意識しています。新規事業を支援するにしたって、DXを支援するにしたって、その企業がもうかればいい、ということではなく、その事業が生み出され成長することで社会・新潟の何のためになっているか?が大事だと思っています。会社では「アカンパニスト」という視点を大事にしています。「アカンパニスト」というのは一緒に存在する、同行するという意味で、ただのコンサルタントだけにとどまらないということを指します。ただの批評家や事務の手続きを手伝ってくれるパートナーではなく、自分たちもコミットできるか、自分自身もプレイヤーとして結果を残せる力があるのか、その力を持ったうえで一緒に歩むことができるコンサルタントの存在は、特に地方においては重要です。

 

 

ホームページ(HP)の石川さんの紹介欄に「新潟を攻めで選ばれる場所に」とありましたが、具体的に教えてください。

 

僕は「地域を戦略的に捉える」ことを掲げて仕事しています。ここ新潟から、地域を戦略的に捉えることを広げていきたいです。人としての選択としては当然の話なんですが、たまたま新潟に生まれたから今新潟で仕事をしている、みたいな感じの人は多いですし、事業者も新潟にあったから新潟で事業をしているというところが多いです。しかし、ビジネスにおいては経営の「4P分析」というのがありますが、それぐらいビジネスをする「場所」って大事なんです。ビジネスをする場所についてしっかりと分析し、検討し事業を推進することで、場所を味方にできるわけです。また、ビジネスをする場所として分析して事業を進める企業が増えていけば、地域の魅力も新たな切り口のものが抽出されていきます。日本人に地方の魅力を聞くと、自然が豊か、食がおいしいという点が挙がりますが、それはどこの地方に行っても似たようなところがあります。消費者に向けたTo C目線で地域を語れる人は多いですが、企業に対するTo Bを語れる人は少ない。観光雑誌のように、To B目線の地域の魅力マップが新潟から全国に広がっていったら面白いと思います。新潟が攻めで選ばれるためには、新潟を戦略的に捉える、それをやるための「アカンパニスト」でありたいです。

 

 

 

NINNOの共同開発事業の具体的な内容を教えてください。

 

イードアは開発という感じよりは、ニーノ仲間と共に進めるための内外に向けた整理や共創が生まれるための新たな仕掛けをもたらす役割を持っていると思ってます。また、(複数のコンテンツを組み合わせ新たなサービスをつくる)マッシュアップするためのイベントを仕掛けるなど、まさに、産産官学にあたるような仕掛けなどに取り組んでいます。

 

例えば、昨年度から拠点を設けるNINNONAGAOKAでは「地域DXエバンジェリスト創出プログラム ~高専生がデザインする地域未来~」(通称Ent-X)を、産産官学の構造で推進したりしています。

 

※Ent-Xについて:地域のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進と次世代リーダーの育成を目的としたプロジェクトです。本プログラムは、長岡市の総合戦略「長岡版イノベーション」に基づき、人材育成と産業振興・起業の促進を主要施策に掲げる長岡市との産官学金連携を最大限に生かし、地域企業や地域社会の課題解決を通じて地域産業のDXイノベーションをけん引する人材の育成を行います。具体的には“Ent-X”という、全国の高専生プラットフォームを構築し、高専生が地域企業のDX課題解決に高取り組む、ビジネスの現場を知ってもらうというような形を行っています。

 

 

3.コンサル業を目指す方へのメッセージ

 

学生や若い世代のコンサル業で頑張ろうと思っている人たちに、メッセージやアドバイスをお願いします。

 

コンサルというのはあくまでも手段でしかありません。事業ごとに工夫をしたり、新しいことを試みたりといろいろな経験をしてみたいという人はコンサル業が合っていると思います。僕は「人の3倍働いて、人の3倍効率よくやる」という意識を持ちたいと思ってやっています。それを力に変え、地域を変えていけるからです。

 

また、まだ何をやろうか迷っている若者は大人の話を聞くだけでなく、自分自身でもいろいろ経験した方がいいと思います。ぜひ日々知らない世界に触れてみる、知らないことを体験してみてください。新潟の子どもたちと接してみて、本当に可能性の塊でしかないと感じるんです。変に大人に忖度(そんたく)せず、自分の可能性を狭めずやりたいことをやってみて、強い気概を持っていれば、一緒にやってくれる大人・場所が新潟にも既にあります。

 

人の想像するものはだいたい実現されてきていると思っています。「あったらいいな」から何でも作れる。若い世代から、そのための挑戦と失敗を繰り返していけば大きな夢を実現できるようになります。

 

ぜひ、挑戦したい皆さま、NINNOで、新潟から盛り上げていく仲間として出会えることを楽しみにしております。

 

 

●取材を終えて

 

田村 優衣(新潟大学4年生)

 

石川さんの仕事に対する姿勢を伺って、「前向きに仕事をされている」という点が印象に残っています。

自分は何のために、誰のために働く、という部分が明確になっているからこそ、やりがいを持って働けているのだと感じました。石川さんの「仕事」はやらされている仕事ではなく、自分なりの目的意識を持った仕事であると感じました。

インタビューでは、質問に対してそれ以上の言葉で返してくださり、熱量の高い見どころ満載のインタビュー記事になっていると思います!

 

 

渡部 亮太(中央大学2年)

 

今回の株式会社イードア様の取材を通じて、地域に根ざした企業のビジョンと、地方でのビジネスの可能性をより具体的に理解できました。特に、コロナ禍にもかかわらず新潟で「できること」を見出す姿勢は非常に前向きでUターン政策に対するアプローチでは、ただ戻るだけでなく、新潟を面白く自然と人が集まる場所にし、更に産産官学の連携により新たな化学反応を起こす取り組みが、新潟をさらなる魅力的な場所へ発展させることができると思いました。

 

 

●取材した企業

 

・社名:株式会社イードア

・所在地

【新潟支社】
新潟県新潟市中央区笹口1丁目2番地 プラーカ2 2階 NINNO内

【東京本社】
東京都港区赤坂2-3-5 赤坂スターゲートプラザ16階

・本社設立:2010年3月25日

・事業内容:ソリューション事業、メディア事業

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