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2025.03.14

「山崎金属工業③」今後の展望とオススメの商品紹介!

YOIFURE(ヨイフレ)
最後の掲載となる第三回は、山崎金属工業さんの今後の展望と商品についての紹介をしていきます!

  • 1.国ごとに異なるカトラリーのデザイン
  • 2.今後の展望
  • 3.商品紹介

1.国ごとに異なるカトラリーのデザイン

 

山崎金属工業は、長年にわたって洋食器の製造・販売を手がけ、海外市場にも積極的に展開してきました。その中で学んだのは、各国で求められるカトラリーのデザインやサイズが大きく違うことです。同じ洋食器であっても、国によって文化や用途に応じた細かな違いが存在します。

 

例えば、一般的な家庭用カトラリーセットはナイフ、フォーク、スプーン、ティースプーン、サラダフォークの5本が基本ですが、スプーンのサイズは日本と比べて大きく異なります。特にティースプーンは、海外ではマグカップを基準に作られており、日本で見られるものより大きめに設計されています。

 

また、ヨーロッパ内でも国ごとにサイズは様々です。イギリスでは日本と同じくらいのサイズ感ですが、フランスやドイツではより大きめのカトラリーが主流です。一方、北欧諸国ではカラトリーは小さめです。これには、料理文化の違いも関係していると考えられます。

 

 

2.今後の展望

 

展望としては、料理や時代の風潮が変わっていることから、今の時代に合った形を提供すること、新しい商品を出す中で、お客様に対してだけでなくノーベル賞の商品をつくっているという自信や、良いものを作っているという自負などの付加価値を職人さんにも持ってもらうことです。職人さんや一般のユーザーの方双方に付加価値のついた商品を提供できるものづくりを目指しています。

適正な値段でお客様に豊かさを届けたいというような、職人さんがやりがいを感じること、なおかつプラスアルファ付加価値がついた商品をだすことで、産業としても盛り上がり、燕としてのブランドも上げられるのではないかと思います。そういった部分から付加価値、それを一般のお客様と職人さんが共有できる商品作りをしていきたいと感じています。

 

 

3.商品紹介

 

①ユリゲラー

 

超能力者のユリゲラーと対決して勝ったスプーンについてです。

当時あるテレビ制作会社から電話がきて、頑丈なスプーンはないかと言われました。弊社は日用品を作っており、頑丈に作ることを目標にしていたわけではないので、最初お断りしました。その後、燕市内のメーカーをしらみつぶしに電話し、どこかのメーカーさんが「山崎金属工業さんがいい」ということを言ったらしく、最後にもう一度話が戻ってきました。そこでやってみようということで、商品を掘り起こして出しました。決してこの企画のために作ったのではなく、元々フランスの輸出向けで製作した商品で、廃盤になっていたものを出しています。

その後「取材をするので来てください」と声がかかり、工場長が呼ばれ、ユリゲラーと対面するという急展開でした。番組では、ショベルカーの先にスプーンをつけて土を掘るという企画やボディビルダーが鉄棒にぶら下がるなどのことをやりましたが、全く曲がりませんでした。そういった企画で勝負して無事勝利しました。

工場長がユリゲラーに、「どうやって曲げるのか」という話を楽屋で聞いた際、「自分の持つエネルギーを物質とぶつけて勝つと曲がる」ということを言ったそうです。その話を聞き、何十工程もの時間をかけ、40人もの職人さんが携わって思いが詰まっている商品を一人の人間が曲げられるわけない、ということを感じたそうです。

それを放送した後、限定500本を販売したところ1週間で完売しました。また、産業史料館という燕市の史料館でも飾っていただきました。

ちなみに、映像を撮るという目的ではなく、テレビ局のスタッフもいない二人きりの楽屋で一般的なスプーンを使って試しにやってもらったそうです。実際に見たところ、力で曲げるのではなく念じて、摩って曲げたそうです。工場長もプロなので、曲がったスプーンを熱で曲げているのではないか、何か小細工を使っているのではないか、と思い見たのですが、全く分からず細工もなかったそうです。それをテーブルに置き数秒後にカリカリといった音が鳴り、見ると何も触っていないスプーンがどんどん曲がっており、自分のエネルギーがまだ残っているからそれによって曲がっている、ということを話し衝撃的だったそうです。

 

 

②カレースプーン

 

カレー賢人

 

こちらは弊社の目玉商品である「カレー賢人」シリーズです。

これはカレーを食べるためだけに作られたスプーンです。スプーン、フォークが象徴的に注目されてアイコンになることはあまりないので「逆にスプーン、フォークがアイコンになる料理は何か」と考えました。そこで出たのがカレーで、カレーのためのスプーンを作ろうという案に至りました。

これまでもカレースプーンは存在しましたが、実際に使っている人の悩みを反映した商品を作ろうということで市場調査をしました。カレーの聖地と呼ばれる東京神田の神保町に行きカレー巡りをして、365日カレーを食べている方々に意見を聞いてまわりました。市場調査をした企業は業界内では初めてだと思っています。

「カレー賢人」は先端がヘラ状で具材が切り分けやすく、ご飯粒まで綺麗に掬えるという特徴があります。新潟市中央区の「ホテルイタリア軒」さんでも採用され、使っていただいています。この商品は業務用よりではなく、一般向けに販売してベストセラーになっており、5、6年経った現在でも人気商品です。

新潟駅の土産店「ぽんしゅ館」さんや新潟空港でポップアップ販売していただくなど、新潟旅行のお土産に買っていかれることが多いと聞いています。

 

 

③YUEN

 

YUEN

 

 

 

こちらはG7で記念品に選ばれた「YUEN」という商品で、1本で燕の洋食器の歴史を表しています。鉄板を叩いて形にしていく鎚起銅器の方法で作っていた時代から機械化が進み、磨きの技術が発達してツルツルピカピカになっていった、という歴史を1本で表現しています。鉄は叩くと横に広がる、ということを表現するために側面にも凹凸をつけ、側面までデザインと考えています。G7で記念品になった際も、日本らしく海外の方も使える、なおかつ新潟を代表する商品はないかと財務省の方に言われ、採用されました。

金型とは、成形加工して製品にするための金属で製作した型枠のことで、通常カラトリーの側面は90度曲がっている金型にプレスをかけると形になるのですが、凹凸があるとそれができないので、特殊な方法のプレスを編み出して、側面のデザインができる形にしています。

現在海外から安価なものが入ってくる状況で、燕の産業は右肩下がりの部分があります。その中で燕の職人が作るべきものは何かと考えた際に、これまでの燕の洋食器の積み重ねを継承できる商品だと考えました。こういった背景も評価していただき、海外の方にも人気の商品です。

中村さんのたすいち

「モノづくりは難しいけど楽しい!」

今回のインタビューでは、山崎金属工業さんのカトラリー製作過程を実際に見学し、職人さんの商品にかける思いと情熱をじっくり伺うことができました。

実際のカトラリーはとてもキラキラしていて美しさに魅了されました!

皆さんもぜひ一つ手に取ってみてはいかがですか?

 

 

■山崎金属工業株式会社

〒959-1263新潟県燕市大曲2570

WEB: 山崎金属工業株式会社

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