はたらく
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─コトヨ醤油さんで醤油を作る際に環境に配慮していることがあれば教えてください。
小林さん:もろみ(諸味)を絞ったものが、生醤油と醤油カスになります。以前は醤油カスを産業廃棄物として捨てていましたが、今は「神田酪農」さんというところに牛の餌として活用してもらっています。何トンもの醤油カスを、お金を払って処理していたのですが、元々もろみから生まれる醤油カスはお乳が出やすくなるとして妊婦さんが食べるという文化があったので、それを牛に活用できないかというところで餌として活用してもらっています。
醤油を作る際にもろみを絞る作業も、全部職人さんの手作業で行われています
─コトヨ醬油さんの商品を使ったおすすめの料理はありますか?
小林さん:まず、私たちの商品を実際に試していただきたいのですが、その時におすすめなのが、お湯で薄める方法です。醤油の風味を一番感じ取りやすいのが、醤油のお湯割りです。
特に「笹神喜昜」は昔ながらのもろみの味がしっかりと感じられる、いわゆる田舎醤油といった醤油です。また、この醤油で作った梅ドレッシングの商品もあるのですが、ノンオイルなので、女性でも食べやすい商品で、野菜などにかけていただくととてもおいしいです。
醤油胡麻やドレッシングなど、醬油以外の品も充実している
小林さん:また、「かければ燻製」という商品は、燻製の香りを楽しめる燻製醤油です。燻製が難しいサーモンの刺身やクリームチーズなどにかければ、風味を手軽に楽しめるんですよ。
ただし、一般的な燻製醤油は木酢液(燻す時に出る煙に含まれている液体)の酸味をごまかすために糖類を含むことが多いんです。
でも私は新潟県産のもの100%で作りたいというこだわりがありました。
そこで、煙草をヒントにして、煙をフィルターに通して木酢液だけを取り除く方法を考案しました。しかし、フィルターをかけると燻製の香りが弱くなり、醤油に香りがつきにくくなります。そのため、27時間かけてじっくり燻製させる必要がありました。
─27時間もかけているなんて凄いですね。それに、お手軽に燻製が楽しめるのも嬉しいです!
小林さん:実はこの燻製醤油の開発には新型コロナウイルス禍の影響もありました。工場も稼働できず一人で過ごす時間が多くなり、「せっかくなら面白いことをしよう」と実験を重ねた結果、この製法にたどり着いたんです。
また、最近は「笹神喜昜」を使った「豊次郎のつまみ」という商品も開発し、2月から販売しています。鯖節、アーモンド、すり胡麻が入ったふりかけ風のつまみで、私の祖父・豊次郎から名付けました。県外に出た私の息子が「お米が美味しくない」と、どんどん体重が落ちていったのを見て「それならお米に合うふりかけを作ろう」と考え、さらに私はお酒を飲むことが好きなので、お米にもお酒にも合う商品を作りました。
今は、パッケージコストを抑えながらも、飲食店に直接提案して「これ、美味しいから使ってみて」と営業しています。かなり自信作なんですよ!
2月から新発売の「豊次郎のつまみ」。どこか懐かしいような、大人から子供まで幅広い年代が好きそうな味でした!
─昔ながらの古き良き醤油作りを続けつつ、新しい商品に挑戦しているんですね。
小林さん:そうですね。そして、簡単にはその「古き良き」は超えられないんですよ。昔ながらの商品に勝とうと色々やっても、やはり「笹神喜昜」などの人気が根強かったり、新しい商品も最初こそ売れ行きがよくてもだんだんと落ち着いてしまったり。まだ味が追い付いていないのかな、という感覚があります。古き良き商品があるからこそ新商品を作れるという側面もありますが、やはり勝ちたいじゃないですか(笑)。どれも自信がある商品なので、どうにかして皆に食べて美味しさをわかってもらおうと頑張っています。
─今までにない商品を考えるとき、どのような工夫をされていますか?
小林さん:自分で1から発想するというよりも、消費者のニーズを探りながら「これならできそう」などと考えて行っています。そして、失敗を重ねながら生み出しています。
例えば、にんにく醤油の商品化に挑戦したときは、すぐに賞味期限が切れてしまうことや売れ残ってしまうリスクを抱えたり、元は醤油の良い香りだった工場全体がにんにくの香りになって怒られてしまったりとか(笑)。
新商品を作るにあたって、たくさんの試行錯誤を繰り返していますが、新たな商品を生み出そうと考えることに楽しさを感じています。
失敗を重ねながら挑戦し続けることの楽しさを語る小林さん
─コロナ禍に時間が出来たことで新商品の開発などができたとお聞きしましたが、それ以前に新商品の開発などは全くなかったのですか?
小林さん:なかったですね。手作りの醤油なので、手間がすごくかかるんです。だから、その作業だけで精いっぱい。ただ、日々同じように醬油作りをしていると、義務的になってしまう面もあったんですね。だからこそ、今の試行錯誤がとても楽しいです。そうしてできた商品を次の世代につなげられるようにしたいですね。
取材を通して、地元の方と「コトヨ醬油醸造元」のつながりを守りながら、そして試行錯誤を楽しみながら受け継がれたものを超えようと挑戦し続ける小林さんの姿に触れて、「コトヨ醬油醸造元」が今も愛され続ける理由がよく伝わってきました。
素敵な想いがつまったコトヨ醬油醸造元の商品を、ぜひ一度手に取ってみてはいかかでしょうか?
■有限会社コトヨ醬油醸造元
住所:新潟県阿賀野市笹岡1119
電話番号:0250-62-2416
2025.02.14 WORK
2025.02.07 WORK
2025.01.31 WORK