はたらく
WORK
WORK
―新潟県中小企業家同友会さんの活動について教えてください。また、企業が連携する意義は何ですか?
中小企業家同友会は全国組織で、地域によって運営方法やアプローチ、「よい会社、よい経営者、よい経営環境を目指す」といった理念は全国共通です。
新潟県では9つの委員会・部会で構成されていて、委員会は経営課題に特化したい企業、部会では障害者雇用や食といった専門性の高いことに関心がある企業が集まっています。
鈴木健太さん。お話の節々から新潟愛を感じられました!
「経営労働委員会」では理念や方針などを見直し「何のために会社を経営しているのか」を考え直す「経営指針成文化」を行っています。
「経営理念を成文化しているかどうか」と業績の関係の2024年6月の調査によると、成文化していない企業は、約30%が「赤字・やや赤字」で約70%が「黒字・やや黒字」でした。
そして、「中小企業家同友会で成文化した企業」では、なんと赤字企業がゼロで、80%以上が「黒字・やや黒字」という結果になりました。
経営理念を成文化し、企業同士の関わりの中で深めていくプロセスが、企業の課題解決や業績の向上に繋がっていくと考えています。
成文化の方法と業績の関係を調べた調査では、同友会で行った場合のみが赤字ゼロでした。(調査期間2024年6月1日~2024年6月31日)
―製造業や小売りなど様々な企業の方がいますが、異業種の企業間の交流だからこそ生まれた良い影響はありますか?
同友会の原則として異業種交流から学ぶのが前提にあります。会員企業は新潟県中小企業家同友会の辞書の1ページとなり、様々な業界の方が経験したことを共有することで、学びあうことができます。月に1回の各支部の例会では「経営体験報告会」をしており、そこでは登壇者が経営内容を報告し、それを聞いた上でグループで討論するのが基本的な学びの方法です。そうすることで、他者の視点も学べるため経営体験を深堀することができます。
―共育求人委員会で大学生と交流があるのはなぜですか?
参加する企業視点でいうと、自社を知ってほしいという想いがあります。また、大学生の方と話す機会がないので、今の学生の考えに対する気付きがたくさん得られ、社員教育にもつながります。地域的な視点でいうと、家の近所にある企業に就職しようってなかなかならないと思うんです。大企業で何をやっているのか分かりやすい企業に就職しようと思いますよね。新潟を元気にするという意味でも若者が新潟に残ってほしいので、ゆくゆくは戻る選択肢の一つとして新潟の企業を知っておいてほしいです。
取材の様子
―多くの大学生が大企業への就職を願う中、中小企業ならではの良さはありますか?
社長との距離が近いことだと思います。大企業だとまず社長に会うことが難しいと思いますが、中小企業では実際に社長と話して会社への想いしっかり聞けるし、それに共感することで仕事にやりがいが生まれると思いますね。また、意見がある時にすぐに社長に伝えられるからきっといい会社になると思います。
―就職に悩む若者に向けて何かアドバイスはありますか?
真っ先に中小企業が目に入ることはあまりないと思います。ですから、少し視野を広く持ってみるのもいいかもしれません。そして、実は自分の近所にも技術力が高いことや社員想いであるような素晴らしい会社があるかもしれません。もし就職活動に困ったら同友会に連絡してください。
―今後の課題と展望について教えてください。
最近はウーバーイーツやタイミーのような個人事業主として新しい働き方をする人が増えています。しかし、そういった方が学ぶコンテンツが不足しているように感じます。そのため、社員がいる前提ではなくてあらゆる方がセミナーや交流の場を通じて学べる環境を整備していきたいと思っています。個人事業主の方の会社を大きくしたいという想いに寄り添えるような活動をしたいです。
また、「NDGs2030」といって2030年までに新潟同友会として達成したいことを打ち出しています。そのために経営課題である、新潟の起業家が少ないことや連携が弱いこと、最先端の学びがないことを逆転させて、起業家が少ないなら支援し、連携が弱いなら作っていこうといったマイナスな面をプラスに置き換えて新潟の課題としています。これが達成されると、2030年には「新潟っていいところだよね」と思われるような場所になっていると思います。
今回の取材を通して、「中小企業=規模が小さい」というイメージだけでは語れない魅力があることに気づきました。新潟の中小企業は、地域に寄り添いながら、社員同士や社長との距離も近く、人とのつながりを大切にしていると分かりました。
また、新潟県中小企業家同友会さんの取り組みから、企業がただ利益を追うのではなく、「自社が何のために存在するのか」「どう地域に貢献するのか」を真剣に考え、仲間と学び合う姿勢が感じられました。
就職活動ではどうしても大企業に目が向きがちですが、自分の価値観に合った企業と出会うためには、中小企業という選択肢にも目を向けることが大切だと分かりました。
私自身も就職活動を経験した一人の大学生として、読者の皆さんにも「自分にとって何が大切か」を軸に企業を選んでほしいと強く感じています。
新潟大学 4年 丸山 雅 (撮影:新潟国際情報大学 1年 中村 あかね)
■一般社団法人 新潟県中小企業家同友会
住所:〒950-0901 新潟県新潟市中央区弁天1丁目1−16 サンテラス石宮2-A
TEL:025-288-1225
HP:https://www.niigatadoyu.jp/
2025.02.14 WORK