はたらく
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―柳都振興株式会社設立の経緯を教えてください。
インタビューに応える一森政子さん(左)、菊乃さん(右)
今年で創業38年目になります。創業当初、1番若い古町芸妓が30代後半となっており、20年近く新たに古町芸妓が出ていない状態でした。新潟の文化として芸妓や料亭は認められていたものの、後継者不足や時代の流れと共に数を減らしていました。創業者がこのままでは古町芸妓がいなくなってしまうと懸念し、県内企業約80社から出資してもらい、古町芸妓のためだけの企業を設立しました。全国で初めての芸妓の会社です。
―柳都振興株式会社さんが古町芸妓の継承に果たす役割を教えてください。
18歳〜22歳の芸妓を志す人を採用し、一人前の芸妓として育てています。一から丁寧に教える環境が整っているため、踊りや鳴物(鼓、大鼓、太鼓)に触れたことがない人も芸妓として活躍しています。柳都振興が会社組織であるということも特徴です。社会保険や福利厚生が充実しているため、芸妓を志す人とその親御さんの安心材料になっていると思います。現在はS N Sを通じた情報発信にも力を入れ、古町芸妓の知名度も高くなっています。
―菊乃さんが芸妓さんになったきっかけを教えてください。
高校卒業してすぐ、柳都振興株式会社に入社して、芸妓としてのキャリアをスタートしました。今年で12年目になります。新潟市出身で、就職活動をしている中で、高校の先生に紹介していただき、この仕事を知りました。3歳から日本舞踊を習っていたこともあり、芸妓という仕事に魅力とご縁を感じました。
―芸妓のキャリアを教えてください。
入社後、若手の振袖さんとして7年キャリアを積んで一人前の留袖さんに昇格します。その後は、柳都振興を離れ、個人事業主としての独立を目指します。その後は現役で芸妓を続ける方もいれば、引退して芸妓さんを支える裏方になる方もいます。
―新潟の芸妓の特徴はなんですか。
今は堀がなくなってしまいましたが、昔から「新潟情緒」と言われる堀と柳の並みに欠かせない存在として古町芸妓がいました。新潟独特の情緒に欠かせないのが、古町芸妓のおもてなし文化です。港町新潟にやってくる北前船のお客さまをもてなし、荒波などで帰ることができなくなった人々が寂しい思いしないように盛り上げる存在であったという特徴があります。そのため、お客様から「新潟の芸妓さんはたくさん話してくれるね」と驚かれることがあり、温かい県民性も特徴だと思います。非日常の空間でお客様に楽しく飲んで帰ってもらえるように信念を持ってお稽古とお座敷に努めています。
芸妓になる年齢も京都と違いがあり、京都は15歳からなのに対し、新潟は18歳から22歳の女性が芸妓になることができます。
―芸妓として菊乃さんのやりがいを教えてください。
留袖さんになった今はお客様に褒めていただいた時にやりがいを感じます。「踊りが上手になったね」や「古町芸妓の中心だね」などと言葉をかけていただくと古町芸妓として働いていることを実感します。振袖さんの時は、日々のお稽古を経て、踊れる演目の数が増えていくことがやりがいでした。
―菊乃さんの今後の目標を教えてください。
後々、個人事業主としての独立を目指すことになります。その後は、可能な限り芸妓の世界に身を置き続けることが目標です。
―柳都振興株式会社さんの企業としての今後の目標を教えてください。
所属している芸妓には柳都振興で芸妓としてのキャリアを積んでもらい、独立して個人事業主になることを促しています。そうすることで古町花街全体の芸妓の数を増やしていきたいと思っています。
まとめ
芸妓さんを支える柳都振興株式会社さんと現役の芸妓さんの双方に取材をしてみて、日常において触れる機会がない新潟の文化について知ることができました。会社として芸妓さんを支える体制は新潟特有であり、文化の継承に果たす役割の大きさを感じました。日々、稽古に励み、伝統を継承する芸妓さんは美しく、かっこよかったです。
『第37回ふるまち新潟をどり』
古町の芸妓さんたちが総出演して芸を披露する年に1回のイベントが9月27日に行われます。気軽に芸妓さんの芸を見ることができる貴重な機会です。是非、訪れてみてください‼︎
日時:9月27日 第1部12:00~、第2部15:30~
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館(新潟市中央区一番堀通町3-2)
料金:S席6,000円 A席4,000円 25歳以下(S席)3,000円 25歳以下(A席)2,000円
問い合わせ先:りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-222-2237
新潟大学3年 須永 ひなの (撮影:新潟県立大学3年 前田 唯衣花)
2025.09.04 WORK