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2025.11.12

株式会社たかのの挑戦─小千谷から広がる、若者と地域を結ぶ“お米”の可能性

2025チームいくらちゃん
こんにちは!いくらちゃん3班「おあげさん」の伊藤優衣です。みなさんは「お米の加工食品」と聞いて、どんな商品を思い浮かべますか?
新潟といえばお米の名産地。白米だけでなく、お餅や白玉、お赤飯など、昔からお米を使った多彩な食文化が息づいています。そんな「お米の可能性」を広げながら、地域と一緒に歩んできた会社が小千谷市にあります。
それが 株式会社たかの さんです。

今回は、学生団体とのイベントや食育活動、SDGsへの取り組みなど、地元と未来世代に寄り添う活動を続ける株式会社たかのさんのお話を伺いました。常務取締役の多田勇利さんと、品質保証部の佐藤優樹さんに、若者と地域を、食を通じて繋げる活動やその志について聞いてきました!

① 株式会社たかのさんの概要、沿革

 

株式会社たかのさんは、新潟県小千谷市に本社を構える食品メーカーです。主にお米を使った加工食品を手がけており、代表的なものにはお餅や白玉、ご飯パックなどがあります。原料には小千谷市産を積極的に取り入れ、「本物を求めるお客様に美味しいものを届ける」という品質方針を掲げています。

また、食品の製造だけにとどまらず、農業にも取り組んでいるのが特徴です。ささげ豆や蕎麦、お米の栽培を行い、担い手が減ってきた農家の受け皿としても機能しています。こうした活動は農業生産法人「アグリたかの」として展開され、循環型農業や地域の課題解決にもつながっています。

特に「ささげ豆」はたかのさんにとって大切な存在です。赤飯に使われる豆として知られていますが、地域では生産が少なく、栽培技術の確立には多くの試行錯誤がありました。社員総出で畑に入り、虫の被害や手作業の苦労を乗り越え、今では安定した栽培体制を築いています。荒れた畑を活用することで、野生動物による被害防止など地域貢献にもつながっているのです。

 

② 地域や若者への取り組み、成果、思い

 

たかのさんは、地域のために環境活動や食育活動に積極的に取り組んでいます。まずは、その活動について伺っていきましょう。

 

インタビュー中の様子

 

―工場でのSDGsや循環型農業の取り組みについて教えていただけますか。

佐藤さん

アグリたかのという農業部門で循環型農業を進めています。収穫した作物はすべて工場に持ち込み、余すことなく製品にしているので、食品ロスをなくすことができています。『作る責任、使う責任』を果たしている取り組みですね。実はSDGsという言葉が出る前から、自然にやってきたことなんです。

 

―SDGsの前からですか?すごいですね。

佐藤さん:

はい。『住み続けられるまちづくり』という意識でやってきました。また、その一環として自衛隊向けの商品も作っています。中越地震のときに自衛隊の方とお話しする機会があり、そこからご縁をいただきました。当時、ご飯があまり美味しくないという声があったので、当社のご飯パックを試していただいたんです。今ではレトルトのおかずも開発して、自衛隊の方に使っていただいています。

 

自衛隊向け商品。実際に訓練を体験され、それをもとに開発している。

 

 

―若者向けのイベントについても伺いたいです。田植えや食育活動をされていると。

佐藤さん:

大学1年生や、まだアルバイトが安定していない学生さんが“ご飯をちゃんと食べられていない”という話を聞いたんです。そこで、“食って大事なんだよ”ということを伝えたいと思って始めました。ただ、私たちだけでは発信力が弱いので、学生団体と協力して共催イベントという形にしました。

 

―どんなイベントを実施されたんですか?

佐藤さん:

もちつき、田植え、流しそばなどですね。そばは当社でも扱っているので、“たかのらしさ”を出したいと思って流しそばにしました。竹は工務課の社員が切り出してくれて、本当に手づくり感のあるイベントになりました。

 

―学生さんの反応はどうでしたか?

佐藤さん:

会社説明会などだと緊張する学生さんも多いですが、こういう屋外のフランクな場だと自然に話せるようです。『企業の人と深く話せた』『食に興味を持てた』という声が多くて、私たちが伝えたいと思ったことはしっかり届いたと思っています。

 

たかのさんは、私たち若者の健康や食のため、社会との関わりのために沢山の活動をされているのですね。また、そうした活動は地域を出て行ってしまうことが多い若者と地域を結び付け、将来の選択肢を増やし地域活性化にも一役買っているのだと思います。

次の章では、そうした取り組みの展望や、小千谷市への思いを伺っていきます。

 

 

③ 今後の取り組みや小千谷市への思い

 

―今後の若者向けの企画について、広げていきたい展望などはありますか?

佐藤さん:

やっぱり、もっと多くの学生さんに“食の大切さ”を伝えていきたいです。学生さんにとって、企業の人と話す機会って大事だと思うんですよ。だからこそ、会社説明会のような堅い場ではなく、もっと気軽に話せる場所をつくっていきたいと思っています。これからももちろん続けたいですし、現在関わりのある学生団体や大学生以外とも、ぜひ一緒に取り組みたいですね。お互いの得意なことを掛け合わせて、新しいイベントができたらいいなと思っています。

 

―具体的にやってみたいアイデアはありますか?

佐藤さん:

まだはっきりと形にはなっていないんですが、“食べる楽しさを感じられるイベント”がいいなと考えています。最近社内で出た話では、そば打ち体験をやってみたいね、と。準備もあるのでまだ計画段階ですが、個人的にはやってみたいと思っています。

 

それから、若い人の意見を取り入れることも大事にしたいですね。私自身はどうしても年齢が離れていくので、若手社員や大学生からアイデアをもらいながら、みんなで作り上げていくイベントにしていけたらと考えています。

 

―若者との連携以外にも、地域とのつながりを大事にされていると伺いました。

佐藤さん:

そうですね。例えば工場の前には桜並木があるんですが、春に咲く前には社員ボランティアで公園の清掃をしています。それから小千谷祭りでは、お神輿を担いで盛り上げたりもしています。市内の他の企業さんとも協力して、地域を一緒に盛り上げているんですよ。

 

―お神輿を担がれるんですか?

佐藤さん:

はい。男性社員を中心に、他社さんと力を合わせて担ぎます。普段は仕事で協力している仲間と、祭りでは一緒に地域を盛り上げる。とても楽しいですし、一体感を感じますね。それ以外にも、小千谷の企業同士で機械や電気工事をお願いし合ったりして、“メイドイン小千谷”で商品をつくることもあります。地域のネットワークを活かして、事業そのものを進めているんです。

 

―地域の暮らしを支える活動もされていると伺いました。

佐藤さん:

はい。スーパー部門が移動販売車を持っていて、25年以上前から高齢者の方の多い地域を回っています。単なる配達ではなく、公民館などに来てもらって、自分の目で見て商品を選んでもらえる。買い物を楽しんでいただくことが目的なんです。お買い物のついでに井戸端会議が始まったりもして、地域の交流の場にもなっています。

 

―長年続いている活動なんですね。

多田さん:

そうなんです。私が入社したときからすでにやっていましたから、もう25年以上になります。免許返納などで移動が大変な方も増えていますし、これからも続けていきたい取り組みです。

若者と地域の未来だけではなく、伝統や高齢者の方々の生活を守る活動もされていて感銘を受けました。SDGsやスーパーでの移動販売が注目されるずっと以前からこの活動を続けられていたり、公園掃除などで市民生活に寄り添ったり、市民の皆様の日常を思うところに、深い小千谷愛を感じますね。

 

楽しそうにお話される多田さん

 

 

④ まとめ

 

インタビューを通して感じられたのは、株式会社たかのさんが「食品メーカー」という枠を超えて、地域や若者、そして未来の暮らしを見据えた活動を続けているということです。

お米を使った商品づくりにとどまらず、農業への参入、循環型の仕組みづくり、災害時に役立つ食品開発、そして学生や地域住民とのイベント――。その一つひとつに共通しているのは「食を通じて人を元気にしたい」という思いでした。

地元のお祭りに参加したり、公園の清掃をしたりといった地域活動も、単なるボランティアにとどまらず「この地域と共に生きていく」という姿勢の表れです。さらに、学生との共催イベントや体験学習を通じて「食べることの大切さ」を若い世代に伝える取り組みは、まさに次の時代を担う人たちへの贈り物だと感じました。

 

また、今回インタビュー中にたかのさんのお品物をいただきました!

 

いただいた「しらたまcafé」

 

「しらたまcafe」というスイーツで、中には白玉と各種フルーツとソースが入っています。新潟県産のフルーツを使用しており、茶豆や越後姫など新潟の甘味を楽しむことができました。ソースは白玉とよく絡むよう工夫をされているそうで、さらに白玉そのものも甘く香り豊かな粉を原料としているため、フルーツとソースの甘味と白玉の爽やかなもち米のおいしさが融合したとても美味しいお品物でした!

ぜひみなさんも一度食べてみてほしいスイーツです!多田さん、佐藤さん、ありがとうございました!

 

 

敬和学園大学 4年 伊藤優衣 (撮影:新潟大学 2年 松永蓮)

 

(株)たかのさんのたすいち

“声”をカタチに 君の“挑戦”が未来をつくる

■取材先名

住所:〒947-0052 新潟県小千谷市大字千谷甲2837-1

TEL:(0258)82-6500(代)

HP:https://takano-niigata.co.jp/pride/

オンラインショップ:https://takano-niigata.jp/SHOP/g17474/list.html

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