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2025.01.31
阿賀町の建設会社巴山(ともやま)組は、土木工事や災害対応に強い建設会社でありながら、「県の花」に制定されている雪椿を活用した化粧品開発にも取り組んでいます。阿賀町の魅力や可能性などを含め取締役の猪俣夏来さんにお話を聞きました。
-猪俣さんはUターンして巴山組に入社したということですが、決めた際の思いや理由を教えていただきたいです。
猪俣さん:新型コロナウイルス禍をきっかけに、自分の人生観や生活感を考えることが増えました。東京で働いているときは業務スピードが本当に早くて、忙しさやしんどさに日々忙殺されているような感覚がありました。巴山組に入社した決め手は、私自身、阿賀町出身で、親戚が経営していたということがまずあります。人口が少なくなっていく中、「この会社をもっと大きくして、若手を中心に阿賀町を盛り上げていきたい」という思いを会社の方から聞きました。「町を良くして町を元気にしたい」という大きな理念を持ったこの会社って面白いなと感じて、私も入社して一緒に頑張っていきたいと思ったのがきっかけです。
-「巴山組」では地元を盛り上げるためにさまざまなことに取り組んでいます。特に「奥阿賀・緑の油田プロジェクト」は力を入れていますが、雪椿を選んだ理由をお聞きしたいです。
猪俣さん:阿賀町がこの雪椿の発見・命名の地であるという大きなゆかりがあるからです。「阿賀町の花」や「新潟県の木」に制定されている雪椿をどんどん押し出したいと思いました。その当時は、発見命名の地にも関わらず、阿賀町には雪椿を使った特産品やお土産物はほとんどありませんでした。主に新潟県の山間部にしか自生しない貴重な花なのに、このまま数が減って存在感がなくなってしまうのはもったいないなと思いました。「建設業界だけどやれることをやろう」と10数年前から、会社としてチャレンジしたのが始まりです。
「巴山組」では雪椿の生育と、雪椿から取れるオイルを利用した製品開発・販売を行なっており、阿賀町のさまざまな地点に雪椿の木を植えることから、オイルの原料となる種を取り、実際にオイルを抽出するまでの全工程に携わっています。水やりなどの管理には、地元で長く暮らしてきた知識豊富な方々の手を借り、高齢労働者の再雇用の場を設けています。オイルの抽出には、「非加熱圧搾法」と呼ばれる熱を加えずに圧力だけで抽出する方法を用いています。
一度に取れる量は少ないものの、熱を加えないことで成分濃度が非常に高いオイルを生産しています。雪椿オイルは、そのままピュアオイルとして販売するだけでなく、オイルを利用したさまざまな商品開発も行い販売しています。新潟県と阿賀町にゆかりのある雪椿のPRを通して、地域貢献を果たしています。
-阿賀町の伝統行事「狐の嫁入り行列」の準備にも携わっているとお聞きしました。一見、建設業との関わりが見えづらいように感じますが、具体的にどのように関わり、地域に貢献しているのでしょうか。
猪俣さん:「狐の嫁入り行列」は阿賀町の一大イベントであり、1番お客さんが来ます。雪椿の話をしながら商品を販売できる売店があるといいなと思いました。地元ならではの体験や話をして、観光客の満足度やリピート率につなげるためにも販売元であるわれわれが当日屋台を出店して、実際に販売することで一緒にお祭りを盛り上げていこうと参加をしています。
そのほかにも、阿賀町の小学生に社会化活動の一環として、雪椿オイルの抽出体験を行っています。阿賀町の花として認定されている雪椿について、「巴山組」の社員さんが出張講師として説明したり、オイルの抽出を子どもたちに体験してもらったりする場を設けています。
また、子どもたちは実際に自分たちで抽出したオイルを使ったものづくりにもチャレンジしています。雪椿の学習を通し、阿賀町のことを知ってもらうことで地域への貢献を果たす役割を担っています。
「巴山組」は、文系・理系を問わず入社が可能であり、1年目は一から現場のことを学びます。さまざまな職種の方々と協力しつつ、自分で監督しながら一つのことを完成できるような人材を育てていきます。そのため、誰かの下について補佐的立場になり、一緒にチームで考えることから働き方を学び始めます。また、若者が働きやすい環境を整えるために主に二つの取り組みを行なっています。
OJT制度とは、職場の先輩社員が新入社員などに対して、実際の業務を通じて必要な知識やスキルを教える人材教育の手法です。特に力を入れているのは、数カ月に一度のペースで新入社員と面談をして、キャリアの進捗や悩みについて聞くことです。そのうえで、OJTの担当ともしっかり面談をしています。建設業の技術系職員・現場監督などの仕事の楽しさややりがいをどうしたら知ってもらえるか、1年間を通して話し合いながら進めていきます。
社員は一人暮らしが多いため、「少しでも仕事の中で生活のしやすさを提供したい」という思いから軽社食が始まりました。様々な種類のメニューを、100円程度で提供することで、少ない金額でおいしいものが食べられるという取り組みを行なっています。
-ここからは、入社4年目の南雲さんにインタビューしていきたいと思います。南雲さん、よろしくお願いいたします。
南雲さん:お願いします。
-まず、巴山組に入社しようと思ったきっかけを教えてください。
南雲さん:大学生の時に地域活性化活動をしていて、新潟県の企業で地元に根付くところで働きたいと思っていました。そこで、創業から80年以上も阿賀町に根付いている「巴山組」に魅力を感じました。また、インターシップを通して施工管理の楽しさを知りました。会社訪問の時の社員の温かさやアットホームさなど、そういった雰囲気に引かれて志望しました。
-文系からの入社ということで、未経験で難しいと思った部分はありますか。
南雲さん:文系から建設業というのが少し未知な部分もありました。現場に出て実際に測量をするのですが、機械に触ったことがなくて。ですが、OJTの先輩に本当に丁寧に教えてもらいました。他にも現場には作業員がたくさんいるのでアドバイスをもらいます。会社で仕事をしていると、分からないことがあっても皆さん優しく教えてくれるので、不安なく過ごしています。
-未経験でも働きやすい環境が整っているのですね。その中で実際に働いてみて感じた働きやすさはありましたか。
南雲さん:入社前にはやっぱり建設業は3K(きつい、汚い、危険)というイメージはまだ少しありました。ですが実際に入ってみて、スペースの広い女性専用トイレと着替えるスペースがあり、夏には空調服があることを知ってイメージが変わりました。私は今年の4月に産休から復帰したのですが、女性が働きやすい環境が整えられています。いろいろ臨機応変に対応してもらいながら仕事を続けています。
-女性でも安心して働けそうですね。南雲さん、ありがとうございました。
-就活についてですが、どのようなところを面接などで重視しているのでしょうか。
猪俣さん:文理問わず募集しており、面接の中での考え方や姿勢を重視しています。具体的には、建設業としてはある程度ロジカルシンキングの要素も大事です。工事現場は一つ一つの要素を考えながらミスなく進めていくので、そういったところで余裕を持って落ち着いて物事を取り組めるのか、ゆっくり論理的に考えられるかという点を見ています。そういった点から、当社の社員は出身学部や学科などは関係なく活躍しているというのが大きな特徴です。
-最後に学生に向けてメッセージをお願いします。
猪俣さん:自分が何を重視して生活したいか、仕事をしたいかを固めてやっていくことが大切だと思います。それが後悔することなく、自分の選択に対して前向きに進むことにつながると思っています。これからも頑張ってください。
-猪俣さん、ありがとうございました。
「自分が人生に何を求めるか」。今回インタビューした猪俣さんが、都会と比べて感じたふるさと阿賀町の魅力は、きれいな四季と温かい人たちに囲まれた生活でした。桜が芽吹く春、セミの鳴き声の中で汗を流しながら仲間と働く夏、紅葉で一面が色づく秋、厳しくも真っ白な銀世界が美しい冬。一年の移ろいを肌に感じながら仕事ができることは、都会では感じることのできない地方ならでは、阿賀町ならではの魅力であると語ってもらいました。
また、人間の温かさを感じることができることも、阿賀町、新潟県で生きる魅力の一つです。ご近所付き合いやお店での関わりでは、人間同士の程よいコミュニケーションや、他者を許し合えたり、助け合ったりする文化が残っているところは、地方の魅力の一つであると語ってもらいました。日々の仕事の進め方については、都会と地方での違いはほとんどないそうですが、仕事を通して感じられる「生きる魅力」が阿賀町にはあります。
株式会社巴山組
事業内容 総合建設業
(土木、建築、鋼構造物、管工事、造園、舗装、等)
創業 昭和17年7月
代表者 代表取締役社長 猪俣茂
本社所在地 住所:新潟県東蒲原郡阿賀町九島1270番地
電話:0254-92-7500
従業員数 68人
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