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業の冒頭、自分自身の半生を振り返りながら、高校時代に地元についてどう考えていたかや、Uターンするまでの気持ちの変化などについて生徒たちに伝えました。
金澤さんの実家は新潟市中央区の「新潟島」と呼ばれる日本海と信濃川に囲まれた中心市街地の一角にあります。新潟明訓高校時代は、登下校時に何気なく地元の古町商店街などを行き来し、おしゃれな古着屋などお気に入りのお店に出入りするのが、何よりの楽しみだったそうです。
(自分自身の半生を語る金澤李花子さん)
高校3年の時に東日本大震災を体験。すでに進学先が決まっていましたが、1年浪人して自分自身の進路を考え直しました。「自分が本当に学びたいカリキュラムがある」として、専修大学に進学。卒業後は都内の出版社に就職。その後、広告制作会社に転職し、新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインによる仕事が増えたこともあり、3年ほど前に実家のある新潟市と東京の2拠点生活をスタートしました。
約10年ぶりに戻ってきた新潟で、地元の古町に強い愛着を感じ、Uターンすることを決意したそうです。新しくできた仲間や活動を応援してくれる人たちの力も借り、「上古町」と呼ばれるエリアの商店街の一角に一昨年、交流スペースや喫茶スペースなどを備えた複合施設「SAN」を開設しました。金澤さんは生徒たちに、「進学でいったん外に出て新潟の良さが分かった。新潟で何がしたいかが、より明確になりました」などと説明。一度は地元を離れて外から新潟を見て、人生の転機でふるさとに戻って新しい道を切り開いている金澤さんの姿に、生徒たちは刺激を受けた様子でした。
続いて行われたワークショップでは、約20人の生徒たちが四つのグループに分かれて、それぞれの地元に今あるもの、ないもの、あったらいいもの、なくなったらいと思うものを洗い出しました。
西蒲区から通学している男子生徒の一人は、地元にあるものとして「公園」「祭り」などを列挙。地元にないものとしては「マック(マクドナルド)」や「若者が遊ぶ場所」を挙げました。さらにあったらいいものとしては、「通行する自動車が近くて危ないので、人が安心して通れる歩道」などを、なくなったらいいと思うものには「強い風」や「変な人」を挙げていました。普段何気なく見過ごしがちな地元について、あらためて見つめ直す機会になったようでした。
(生徒のワークショップを見守る金澤さん)
金澤さんは生徒たちのさまざまな意見を聞き、「みなさんは若者が集まって遊べる場所を求めている一方で、普段から安全で安心して暮らせる地域を求めている傾向があるようですね」と指摘。「自分自身の中に地元を落とし込んでみることが、今後の進路や人生を考える参考になるはず。今日考えたことをぜひ参考にしてみてはどうでしょうか」とアドバイスしました。
金澤さんは自分が携わってオープンした複合施設「SAN」の場所や、古町エリアの名所などを紹介したマップも生徒たちに配布し、「ぜひ今度、SANに遊びに来てください」と呼び掛けました。生徒たちは高校から比較的近いエリアにあっても、なかなか行く機会が少ないという古町エリアに興味を持った様子でした。
(地元について考える生徒たち)
女子生徒の一人は「古町はあんまり行ったことがなく、詳しいことは知らなかった。ぜひ今度友達と一緒に遊びに行ってみたい」と金澤さんが活動する古町エリアに興味を持った様子。 男子生徒は「家のある南区は、学校のある中央区よりも空気がきれいだと気づいた。自分が住んでいる街の魅力を知ることができて良かった」と普段は当たり前に感じている地元への理解が少し深まったと話していました。
にいがた鮭プロジェクトと新潟県が連携した高校生向けキャリア教育プログラムは今年度、長岡向陵高校でも行います。