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▽前回の記事
-グランヴォーチェ柏崎の設立の経緯を教えてください。
飯塚さん:若者の人口流出が深刻な柏崎の現状を知って「柏崎に残りたい、就職したい」というきっかけづくりをしたいと思い、社会人のサッカーチームを立ち上げました。しかし、社会人の選手を集めるのはとても大変で・・・。だったらまずは子どもたちと一緒に柏崎を盛り上げていけばいいのではないかと感じ、始めました。僕自身、サッカーを通じてたくさんいい経験をさせていただいたり、礼儀作法を身に着けたりしてきたので、子供たちにも自分と同じようにサッカーから何か学んでもらえたらなと思ってやっています。僕と同じように、柏崎の子供たちに、サッカーでいい経験を積んでもらいたいというのが一番にあります。
-どうして柏崎に「残りたい」というきっかけづくりをしたいと思ったのですか。
飯塚さん:僕自身が、大学進学のときに新潟から福島に出ていて、柏崎に戻るつもりはあまりなかったんです。ですが、福島に行った年に東日本大震災がありました。大学自体は大きく被災したわけではなかったので、授業の合間に災害ボランティアにたくさん行きました。震災は僕にとっても大きな出来事だったので、サッカーとは関係ないですが、被災した方々と触れ合う中で考え方が大きく変わりました。
-当時は大変でしたね。飯塚さんが柏崎に戻ってくることになったきっかけについて教えてください。
飯塚さん:関東での就職が決まった後に、柏崎にあったビーチサッカーのチームから誘いを受けたんです。その誘いがなければ、柏崎には戻ってきていなかったと思います。その後、ビーチサッカーのチームは東京に異動することになったんですが、僕は柏崎に残ることにしました。サッカーを続けているおかげで、縁があって柏崎に戻ってきました。大学時代に受けた影響もあり、地元に貢献したいと思うようになったんです。
(大学時代の出来事が、今の飯塚さんを作り上げていると語ってくださいました)
-サッカーからいい経験を積んでほしいとありましたが、どのような工夫をしていますか?
飯塚さん:サッカーの練習だったり、試合、大会がメインですが、その他にも妙高市へ行き自然で遊んだり、ピザ焼き、ザリガニ釣り大会など、サッカー以外にも様々な活動を行っています。
(自然教室の様子)
-サッカーはチームスポーツなので、協調性などのスキルも学べるのかなと思います。 教えている中で、子供たちの成長を感じる瞬間はありますか。
飯塚さん:そうですね。最初、小学1年生のうちは、たくさん言わなければいけないこと、教えなければいけないこともあります。けれど、小学6年生にもなると立派になると感じますね。僕たちコーチが言わなくても、荷物を片付けるとか、道具の準備をするとか、自分たち自身でできるようになります。このような感じで、小学生、なかには幼稚園から見ている子もいるので、成長を感じられるシーンはたくさんあります。
- 成長を感じる瞬間にも通ずるところがあるかもしれないのですが、やりがいってなんでしょう?
飯塚さん:僕はサッカーが大好きなので、サッカーを通じて選手たちと一緒に 夢に向かってやるというところ、僕のチームの場合は新潟県で優勝しようとか、全国大会に行こうって目標でやっているんですけど、その喜びって一瞬しかないじゃないですか。何においてもそうだと思います。その一瞬のために、みんなで頑張っている時間が僕にとってはすごくやりがいなのかなって思っています。
-グランヴォーチェ柏崎は、何歳くらいを対象に活動しているのですか。
飯塚さん:幼稚園年少から小学校6年生までが対象です。僕のチームはU12をメインに活動していますが、U15のチームもあります。
いまでは人数が沢山いますが、チームを立ち上げるときは、選手集めが大変でした。最初は18人しかいなくて、そのうちほとんどが小学校高学年でした。試合の時には、他のチームと合同でやったりしていましたね。
あの頃が一番大変でしたね。ポスターを色々なお店に貼らせてもらったり、WEBページ、インスタなどを使ってみたりして必死に勧誘。当時はサッカーチームが公式インスタをやっているなんてことはほとんどなかったんです。そのおかげで選手を集めることができました。
-中村さんとの関係について
飯塚さん:なかしょう(中村奨さん)は僕の1つ後輩で、 小学校、中学校が一緒なんですよ。そして、小学校の時は同じサッカーチームに入っていて一緒にプレーしていました。
-その後はどこかで会うタイミングはありましたか?
飯塚さん:社会人になって本当に久しぶりに会いました。会ったきっかけは、元々僕らが(小学生の時に)一緒に所属していたチームのコーチがあるとき亡くなられて。
そのタイミングで僕の同級生となかしょうが(母校の小学校の)コーチを一緒にやることになったとき、なかしょうが教えている小学校のチームと、僕が教えている柏崎のチームが(試合などで)ちょっとずつ関わるようになりまして。そこで久しぶりに再会したという感じですね。
-設立後の選手集めも大変だったとのことですが、サッカーをしている中で、うまくいかないゲームもあると思います。そういう時ってどういう風に子供たちにアドバイスをされているのですか?
飯塚さん:大きな試合を終えた後には、選手である子供たち一人ひとりに、その試合で良かったことを話しています。今回は「つながる」のテーマでの取材とのことですが、選手たちとそういった感じで「つながる」瞬間が僕は好きです。
U12だけでなく、U15のチームもあると先ほどお話したんですが、サッカーってずっと「つながる」スポーツだと思います。サッカーは、やめないで続けている限り、「今日負けたチームに、いつか必ず勝ってやる」っていう野望がずっとあり続けると思っています。
-今までの飯塚さんの経歴などを聞いていて、自分のしたいことに向かっている印象を受けました。その中でも、特につながりを大切にされていますね。これが今の人生に活きているんだというつながりはありますか。
飯塚さん:やはり福島の大学に行って、震災にあったことが自分の人生に活きていると思います。ボランティア活動、大きな被害を受けた方々との会話などを通じて、大学の4年間で考え方が変わったかなという印象があり、「人のために行動すること」を学んだと思います。
サッカーを通じてそれを教えたくて、日頃から言っている言葉があります。「本気でやらないと、人を動かせない」ということです。何か「やらされたことをこなす」ことってすごく簡単だと思うんですけど、そうではなくて「思いを持ってやる、 続ける」っていうところが大切だということを子供たちにはよく言っています。
-事前情報として調べた中で、「チームのために、自分が必死に汗をかいて、恥をかきながら成長していってほしい」というのが書かれていました。このコンセプトを大切にしながら、活動しているとのことですね。
飯塚さん:言葉にするとなかなか難しいなと思ったのですが、僕が選手たちによく言っているのが「夢を持って本気で」ということなんです。表現が抽象的なのですが「全力で」だったり、「本気で」っていう言葉をすごく大切にしています。
子供たちが、サッカーはもとより、遊びとか、好きじゃない勉強とかも含め、全てにおいて全力で本気でやっていると応援してくれる人もたくさん出てくると思います。そして、サッカーでは、時には負けたり、恥をかいたりということがありますが、そういったつらいことも夢があれば頑張れるよねっていうところをチームとして大切にしています。
-お話を伺う中で、飯塚さんの大学時代は、とても大切な時間だったのかなと思います。今の学生の皆さんにも、なにかメッセージをお願いします。
飯塚さん:やりたいことは全力でやった方がいい!
やりたいことがやれる世の中じゃないっていうのはあるし、たくさん反対もされることあると思うけど、年齢を重ねれば重ねるほどやりたいことに向き合う時間が少なくなってしまう。僕なんて、ビーチサッカー卒業してやりますなんて言った時、家から追い出されるくらいでした(笑)。でも本当にやりたいことに向かっていけば、絶対いつか理解してもらえるし、納得してもらえるし。そのためにはやっぱり、本気で向き合わないと。だらだらしていると覚悟もなくなっちゃうし。そう。全力でやるとか、覚悟を持ってやるっていうのはやってほしいと思います。
クラブの子どもたちに対する強い思いをお聞きし、また、自分自身の気持ちに素直になって行動する飯塚さんの姿勢に感銘を受けました!
次回は駄菓子屋を営んでいる玉橋尚和さんを紹介します。お楽しみに!
■GRANVOCE KASHIWAZAKI (グランヴォーチェ柏崎)
ホームタウン 新潟県柏崎市
Instagram:https://www.instagram.com/granvoce_u12/