はたらく
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2024.11.15
1.東日本技術研究所の創業から現在までの沿革を教えてください。
弊社は1985年に派遣業からスタートしました。その頃は派遣業界がすごく勢いがあった時代で、創業者は日立製作所から独立しゼロから派遣業を始めたんです。元々、私は富士通系の会社でソフトウエアの開発をしていましたが、32歳の時に当社に転職し企業の基幹システムソフトウエア開発を担うことになりました。
2023年10月末には、フランス本社のALTEN GROUPに加入しました。弊社は日本、中国、インド、韓国などのALTENのアジアパシフィックに属しています。アジアパシフィックには今年3月、ベトナムのIT企業も加入しました。
ALTEN全体の従業員は、5万7千人。弊社は総数で870人、このうち東北支社は280人います。ALTENのメイン事業はエンジニアリングサービスですが、弊社はITの中でもソフトウエア専業で、売上の95%以上をソフトウエア開発が占めています。
2.事業拠点が茨城、福島、宮城、群馬、栃木、新潟と広くありますが、それぞれに特色はありますか?
「地元のお客さまの仕事を地元の人間が担う」という創業者の考えがありました。茨城の日立にある本社は日立製作所と共に成長してきました。福島県のいわき事業所はアルプスアルパインがあります。宮城県の仙台は商業の街なので、お客さまがたくさんいます。東北6県の仕事を取り仕切っている会社が仙台に多いので、地元の人間が地元のことを担えます。日立製作所は鉄道など社会インフラを得意として、アルプスアルパインは自動車メーカー向けの製品を多く扱っているので組込み開発が多いです。請け負う会社の特色が事業拠点ごとの特徴になっています。
3. HPの「社長あいさつ」で ‶地域のニーズを最大限に引き出してソリューションで応える″ とありますが、新潟県のニーズに対する事業や取り組みを教えてください。
雇用を増やしたい新潟県、新潟市の考えから企業誘致の流れに乗って、新潟にオフィスを構えました。ソフトウエア開発に興味のある新潟の学生を雇用して、新潟にいながら、東京や世界の仕事に取り組めることは一つの魅力だと思います。新潟県内の学生を1年目は3人、2年目は4人、3年目は5人を雇用しており、今後も増やしていきたいと考えています。
4.企業の基幹システムや、自動車などのソフトウエア、鉄道などの社会インフラなど、さまざまな分野のソフトウエアを開発されている中で、現在特に自信を持っている事業分野を教えてください。
商社など企業向け基幹システム開発が、一番自信はあります。後は組み込みシステムです。SDV(ソフトウエア・デファンド・ビーグル)、カーナビ、カーオーディオ、メーターなどの自動車関係はこれから一層発展していく分野であり手掛けて良かったですね。
近年は電気自動車の流れになり自動車メーカーの数がどんどん増えています。メーカーやモデルごとにプログラムが違うので、おそらく新卒の社員が定年を迎えるまでなくならないぐらいの分野になってきています。ただ組み込み開発は、ハードウエアとソフトウエアが密接な関係にあるので、基幹システムより複雑なため入社して1年経ったからといってこなせる分野ではありません。じっくり教えないといけない。そういう難しさはあります。ただ基幹システムはいろいろな業界・業務のことを手掛けるので、今までに1回も経験したことがないことを覚えながらこなしていきます。こちらも大変ではあるがとてもやりがいがあります。
5.HPに「お客さま課題やニーズにあった最適な方法でトータル的に支援する」とありますが、具体的に安全性の保証に対してどのように取り組まれていますか?
メーカーさん主導で、スペックに合ったソフトウエアを作っていますが、昔より大変なのはセキュリティー。
今は「つながるくるま」が当たり前になっています。自動車はクラウドと接続されていて、カーナビで近隣駐車場の空き状況や飲食店の割引クーポン情報が表示されたり、自動車のソフトウェアが最新にされたりします。
便利な半面、自動運転の車に悪意のある人がクラウド経由で侵入し、人に向かって進めという指示を出すこともできてしまう。こういった事態をどう防ぐかという意味ではセキュリティーはすごく大事です。ですので、これまでは考慮をしなくても良かった機能にもセキュリティー要件を考慮した設計を要求されますので、それに応えるための勉強も欠かせません。
6.人々の生活を支え、時には人々の命とも密接に関係する事業がほとんどだと思いますが、新たに何かを開発するという時や、開発したものを世に出す時など仕事にプレッシャーを感じる場面はありますか?
自動車関連ではそれこそ命に直結してしまいます。自動車メーカーの高い要求を満たす事が常に求められています。プレッシャーはもちろんありますが、テストを重ねたうえでプログラムを提供しているので自信を持っています。
基幹システムにおいての命は数字です。間違った数字で支払いをしてしまい事業継続が脅かされる事態を引き起こしてしまうことや、個人情報データを流出させてしまう等、そういった状況を作りこまないように、レビューを実施しテストを重ねます。
~会社の雰囲気をのぞいてみよう~
入社2年目の種田さんにお話を伺いました。
—どのような業務を行われていますか?
今は、AWS(Amazon Web Service)を基盤にした基幹システムのプログラミングをしています。
—業務を行うに当たって大事にされていることを教えてください。
バグが出た時に原因を考える力が必要です。この時、自分だけで考えてどんどん時間がなくなっていくのもよくないですし、最初から人に聞いて自分の考える時間を削るのも駄目だと思います。プログラミングを完成させるため、これらの時間配分をよく考えることが大切です。システムが止まらないように事前のテストを重ねる必要があります。
—繁忙期は特定の時期ですか?
繁忙期はバラバラで、時期は決まっていません。毎年同じ時期に忙しくなるというよりは与えられた仕事の納期によって変わってきます。
—日々の生活スタイルを教えてください。
普段の過ごし方は、平日は会社と家の往復をしている感じで、週末はゲームが好きなので、ゲームをして楽しんでいます。
7.事業所が多くたくさんの社員がいる中で社員をまとめ、社員全員の意識を同じ方向に向ける必要があると思うのですが、そのために工夫されていることはありますか?
開発では、プロジェクトの方針や大目標に向けて、同じ方向を向くのはとても大切です。とても難しいですが、その実現には日々のコミュニケーションを円滑にしていることが大事だと思います。社員同士の交流を深めるため、各種同好会が充実しています。
男性社員の割合は8割程度と多いですが、男性も育休を取る環境が整っており、社員のワークライフバランスに配慮するよう会社全体として、努めています。
8.この業界において求めている人材・向いている人材はどのような人ですか?
プロジェクトは複数人で動いています。リーダーシップはもちろん、メンバーシップも大事です。リーダーだけがいても仕事にならないし、メンバーだけがいても仕事にならない。支えるのが得意な人、引っ張っていくのが得意な人、どちらかの特性を持っていればいいが、そこで大事なのは、協調性だと感じます。
そして、仕事に本当に興味を持って向き合える人。相手のリテラシーレベルを考えて、相手が分かるように説明できたり、コミュニケーションのタイミングを上手に測れたりする人はプロジェクトを円滑に進めることができます。例えば、一声かけて、「ちょっと質問があるので、落ち着いたときに声かけてもらえますか? お願いします」って言える人。その間、他に進められることを進めて、質問を後で確認する。そうするとプロジェクトも円滑に回るし、その人もストレスなく仕事を進められます。
相手との心地よい距離感を測れることはどんな仕事でも大切だと思います。
9.進学のために地元を離れている学生を対象とした採用活動は行われていますか?
新卒に関しては、全拠点共通でリクナビ、マイナビ、キャリタス等の媒体を利用し全国から採用しています。新潟にも千葉や東京から学生が選考に来たことがあります。
中途に関しては、新潟県と新潟市の取り組みに賛同したり、Uターンのイベントに出たりして、いつでも採用を行っているとアピールしています。実際に、新潟ではUターン者が1人入社しています。他の事業所では、新潟より多数のUターン者がいます。
10.ソフトウエア開発をはじめとしたシステム関連業界への就職に興味を持っている学生に対してメッセージをお願いします。
この業界を目指すか、目指さないかは別として、まずは1回、幅広くいろいろな業界を見た中で、自分が興味を持ってこの仕事をやりたいと思うものを見つけてください。
われわれのソフトウエアの業界はモノを作って、それが動いて、お客さんが喜んでくれる、こんな面白い仕事はやめられません。そういうところを共感できる人に来てほしいです。ITと決めたら、いろいろな会社見たほうがいいです。弊社は見せられる範囲で開発の現場を見てもらっています。こんなことやっている、こんな業界だよと、ちゃんとわかってから来てもらいたいですね。だから全部見せます。まずは広い目で見て、業界を絞ってまたその中で広く見てほしいです。きれい事ばかりではないし、納期の前やテストを何度も重ねる作業は大変なこともあります。ただ、ソフト開発が好きな人は楽しんで続けています。そのような人が来てくれるとすごくうれしいです。
弓田 瑠杏(新潟県立大学 3年)
小野さんから伺った、内容によっては1年中テストをし続けるというものもあるという話が印象的でした。クライアントに真摯(しんし)に向き合い常に良いサービスを提供する姿勢に感銘を受け、責任を持って仕事に取り組んでいる様子がとても素敵だと感じました。また、お客さまのこだわりに合わせてそれに応える仕事をしているとおっしゃっており、忍耐力が必要とされる大変な仕事でも妥協せずにやり、遂行されている姿勢がとても魅力的でした!
この記事を通して東日本技術研究所さまの魅力だけでなく、IT業界全体の魅力も伝わっていればうれしいです。
横山 和輝(中央大学 2年)
東日本技術研究所の取材を通じて、仕事内容の幅広さとその技術、技術レベルが高まるスピードに驚きました。そして、技術レベルが高まっているからこそ、セキュリティーが重要になるという話や、大変ではあるけれどもこの仕事の達成感や楽しさ、仕事に対する確かな自負がとても魅力的でした。
小野さんのお話から、仕事への興味や人との協調性など、IT分野に限らず人と仕事をするということの意味と難しさ、そのためにコミュニケーションが重要であるということを実感しました。貴重なお話を聞かせていただき、誠にありがとうございました。
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