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2023.10.02

125BASE(イツコベース)①木村亮太さん/木村圭吾さん|自分のやりたいと思うことを仕事に

キャンバス
日本人の主食に欠かせないお米。そんなお米がお店の売り場に並ぶまでは、農家さんの苦労が欠かせません。農業従事者の年齢層が高めな上に広い面積の作業は機械を使っているとはいえ決して楽なものではないと思います。今回はそんな農業にドローンを使用して自動化させるという事業を行う125BASE代表の木村亮太さん(26歳)と弟の木村圭吾さん(21歳)にお話を伺いました。

<プロフィール>

125BASE(イツコベース)

新潟県三条市を拠点に兄弟2人でドローンを使用して米農家をサポート。
事業名の125(イツコ)はおばあ様が由来。「度が付くほどおせっかいな祖母のようにお客様に寄り添った事業を行いたいという意味が込められている。BASEは英単語で「基地」の意味を持つ。“思いやり”と“気配り” を絶やさない祖母の姿を見て この姿をお手本に事業に取り組みたいという思いとこれら(思いやり・気配り)を発信する基地的存在でありたい という思いからこのネーミングに。

<特徴的なカラーの作業用軽トラ>

 

代表 木村亮太さん

新潟県三条市出身。高校時代は生徒会長を務める。高校卒業後の進路は自動車整備の専門学校への進学を考えていたが、進路指導の先生からの勧めもあり神奈川県内の大学に進学し、経営学を学ぶ。大学生時代に学生団体の立ち上げを行う。大学卒業後、一度は就職するも、1か月程で退職。高校時代から趣味のバイクに乗っている時に見える田んぼの移り変わりに魅力を感じて農業に何らかの形で関わりたいと考えていたことから、新潟に戻り、アルバイトをしながら修行先を探す。その後、ご縁のあった農業法人で1年間修業をし、独立。現在に至る。

 

弟 木村圭吾さん
新潟県三条市出身。新潟県内の大学に進学。大学入学から半年が過ぎたころに休学をし、兄・亮太さんの立ち上げた農業ドローンの事業に参画。昨年9月に復学し、学業と両立しながら亮太さんと共に事業を行う。もともとは農業に興味があったわけではないが、知人の米農家に遊びに行く中で、農業の魅力を感じ、現在に至る。

 

‒まず、自分で起業しようと思ったのはなぜですか。

 

亮太さん:簡単に言うと会社に属していては自分のやりたいことができないと思ったからです。農業法人で修行してそのままいるのもいいかなと思ったんです。修行先の年齢層もかなり高めでその人たちの手助けもしたいところだったのですが、「ここでさえこんなに困っているならば、もっと困っている人がいるはず。でもここにいたら他の人は助けることはできないし、ドローンによる作業請負をしている事業者もいない。なら自分でやった方がいいな」と考え、自分がやりたいことをするために合致するのが起業だったので選びました。

 

-農業支援の中でもドローンを使用した支援にしたのはなぜですか。

 

亮太さん:ほかに農業支援の仕方が思いつかなかったのが一番の理由です。というのも修行先で実際にドローンを使っていたんですよ。ただ、そのドローンは農業法人の中でのみ活用していなかったんですね。片手間で他のところの作業をしていたというのはありましたけど、、、そこで、必要としているけど導入できないところがあるのではないか、それを解決できるのはドローンかな、と最初にそこに着目したので、それ以外のことは考えませんでした。農業従事者の年齢層も高いのでそういった人たちがアプリやドローンを使いこなせるかっていったら難しいですよね。なので自分の得意分野を生かそうという感じです。簡単に言うなら流れに身を任せたって感じです。

 

ふとした瞬間に思いつくっていうこともありますよね。

 

<実際に使用しているドローン>

 

-起業するときに何か不安なことはありましたか。

 

亮太さん:相談できる相手がいなかったことです。周りにいるがほとんど勤め人だったのでほぼ誰にも相談はしませんでした。そこが不安だったかな。仕事のやり方はプロだけど自分で仕事を興す部分はプロではないので。聞いても「あぶないからやめた方がいいんじゃない」とか、、、消極的な意見が多く、モチベーションが落ちてきたので途中から相談することをやめました(笑)

 

 

 

-新潟は他県と比べて起業する人は少ないのでしょうか

 

亮太さん:そうですね。他県の状況を把握しているわけではありませんが、個人的には少ないのではないかと感じています。土地柄が影響しているのかもしれません。

 

-起業するときに苦労したことは何ありますか。

 

亮太さん:どうやって始めていくか考えるのが大変でした。1からつくるので、どのようなフロー(流れ)にするか、どのような作業形態で全額設定はどうするのかなどなど…全部Googleに聞ければいいんですけど、前例のないオリジナルなので、土台をつくるのは苦労しましたね。あとは、創業するにあたってどうしても無視できない部分のお金、私たちのサービスを使ってくれるお客さんの獲得に苦労しました。

 

-大学での学部は経営学部とおっしゃっていましたが、その時の知識は役に立ちましたか。

 

亮太さん:ほぼ役に立っていないですね(笑)マーケティング専攻だったのですが、当時学んだマーケティングが通用しない世界への参入だったので。でも考え方など部分的には役に立ったかな。今一番有効なのは農家さんが居そうなところを探してチラシを入れるのとクチコミですね。今年はクチコミが特に功を奏して昨年と比べて約2割依頼が増えました。

 

圭吾さん:農家さんはうわさが広がるのが早いので(笑)良くも悪くも閉鎖的であるが故に地域の農家さん同士の関わり具合が家族ぐるみの付き合いみたいになっているので、誰かがドローンを利用したらすぐに話が他の農家さんにいくんですよ。農家さんのクチコミは最強です。

 

亮太さん:その通りで、自分たちの存在や良い情報が広まるのは嬉しいですけど、それと同じく悪い情報も瞬く間に広まってしまうんですよ。あの業者あまり良くなかったとか、、、なのでそこをどうやっていくかっていうのも課題ですね。一つのお客様に寄り添いすぎず、でも顧客満足を損なわない折衷案を探すって感じですね。

 

-ドローンを自前で持っているところは結構あるのですか。

 

圭吾さん:数としては多いと思います。具体的な数字はわからないのですが、県央地区では知っている限りだと5機位は自前で持っている事業者がいます。所有している方の中には委託という形で部分的には作業を行っている例もあります。

 

‒若いうちに起業するとなると資金はどのように用意しましたか。

 

亮太さん:資金調達は5つの方法で行いました。1つ目は自己資金です。大学生時代に貯金していたお金、そして乗っていたバイクを売却して得たお金を用いました。2つ目は弟や家族の援助です。弟は中古の軽トラを買ってくれました。3つ目はクラウドファンディングです。300万円を目標にしていましたが、集まったのは30万円でした。4つ目は日本政策金融公庫さんです。事業を始める人のための国の銀行みたいな。事業を始めるために創業融資として200万円くらいお借りしました。5つ目は投資です。令和の虎という番組に出演して、投資家の方々から150万円投資していただきました。最終的には500万円程度集まり、事業を始めることができました。設備費があまりかからないのでこれくらいでも始められましたね。

 

始める事業や置かれた環境によって起業するときの資金は全く異なりますよね。

 

亮太さん、圭吾さんありがとうございました。次回は起業後のお話、学生に向けてのお話です。弟の圭吾さんからは大学生目線でのお話も聞くことができました。お楽しみに!!

125BASE(イツコベース)②木村亮太さん/木村圭吾さん|起業してから~うまくいくこともあればいかないことも

 

ホームページ:https://125base.com/

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