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専用のゴーグル型端末「ホロレンズ」を装着すると、目の前に設計した建物のリアルな3D映像が姿を現しました。遠隔地からの参加者も同じ映像を見ることができ、透明人間のようなアバターとして映し出されています。3D映像は自由に向きを変えたり、動かしたりでき、大きさも自在に変えることができます。等身大のサイズで3D映像の建物の中に入り、内側を見ることもできます。仮想現実の世界で、実際にその場にいるかのような臨場感には驚くばかりでした。
小柳建設では、担当した大河津分水路の河口部拡幅に伴う山地部の掘削工事などで、設計データの確認や完成検査などさまざまな場面でホロストラクションを活用。遠隔地からでも複数人が映像を共有して見ることができるため、遠くにある現場までの移動時間が削減できます。同時にリアルな3D映像を共有することでお互いの理解度が高まり、話し合いの時間が短縮されるなど、多くの効果が生まれています。地方だからこそ、このような最先端の技術が当たり前に使われる時代が来ていることを、肌で感じる機会になりました。
Holostruction(ホロストラクション)については、以下の動画も見てください。
革新的な取り組みを推進する小柳建設。新しい可能性に挑戦し続ける小柳卓蔵社長(40)にインタビューを行いました。
―社員の働き方改革やDXの導入など次々と新しい取り組みを進めていますね。
1945年に祖父(初代社長)が創業して以来、会社には変化を怖がらない、新しいことをやるといったマインドがありました。そして私の代でたまたま、ITやDXの時代に引っかかったということだと思っています。
―2008年に金融業界から小柳建設に入ったそうですが、当時はどうでしたか?
誰でもそうだと思いますが、まずは大きな環境の違いに戸惑い、同時に建設業界はかなり遅れている部分があると痛感しました。人手不足にも悩んでおり、設計図を印刷して現場に持って行くとか、伝票を手書きで行うのではなく、アナログな現場にメスを入れることで、省人化や効率化を進めなくてはと決意しました。「社員にもっと楽をして仕事をしてほしい」「若い人にもっとかっこよく仕事をしてほしい」と思ったんです。
―京セラの創業者、稲盛和夫さんの私塾で経営を学んだそうですね。
師匠と仰ぐ稲盛さんからは、「とにかく理念が大事だ」と学びました。小柳建設の経営理念には「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という一文があります。「この理念を追求するために、残業を減らし、有給休暇を取得しやすくするなどして、経営者自らが意識を変えて、会社のカルチャーを変えていこう」と考えました。
―働き方を改革するために実施した取り組みについて教えてください
離職率とか有給休暇の取得率とかを、どんどん開示しました。5年ほど前は振替休日を取得できない日が全社員合計で3,000日もありました。「これではまさにブラック企業ではないか」と(笑)。だから正直、最初は数字を出す怖さもありました。でもトップが事実と向き合い、「社員に力を貸して欲しい」とお願いした。その結果、みんなにしっかり休んでもらって、戦略的に過剰な売上げをコントロールすることで、逆に利益率は上がりました。今では月平均の残業は2.6時間。有給休暇の取得率は65.9%になりました(2020年度実績)。年間のボーナスも基本給の2カ月分から4カ月分以上に増えています。
―2019年には経営陣を一新したそうですね。
(2019年に小柳建設は経営陣を一新し、社長を含め平均年齢41歳の3人だけに)
まだ売上げを伸ばそうと思って利益がじわじわと下がっている状況でした。会社に古い体質が残っていたのだと思います。それで父親(前社長)や当時の経営陣に「ぜひ若い人に任せてほしい」とお願いしました。当時の経営陣から理解してもらうことができ、それからは一気に変化のスピードが上がりましたね。デジタル化もどんどん進みました。今の役員は私がやりたいことでも「それはリスクがある」としっかりと指摘してくれます。そして同意の上で、同じ方向を向いて事業を進めることができるようになりました。社員とのコミュニケーションもより良くなり、業績もV字回復することができました。
―最後に若い人へのメッセージをお願いします。
経営者になりえる人になってほしいです。経営者になれば自分がやりたいことができます。新しいサービスを提供していけます。そのために自分で何でも決められるし、自分の時間をより多く使えます。それで利益が出れば、社員に給料を払うことができる。それが世のため、人のためになっていればいいと思います。うちの会社でもそんな人材がどんどん育ってくれたらいいと思っています。
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