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FOOD

2025.04.27

「ぽんしゅ館②」―特産品の魅力を世界にも発信する拠点へ

YOIFURE(ヨイフレ)
皆さんこんにちは!チームいくらちゃん「YOIFURE」です。
前回に引き続き、「ぽんしゅ館」についてお送りします!
前回は「株式会社レルヒ」代表取締役社長の髙村秀夫さんから、「ぽんしゅ館」さんの魅力やどのように地域活性化の役割を果たしているのかを教えていただきました。今回はその続きと、世界に向けても、日本酒のような新潟の特産品を発信しようとする試みについてお届けします。実際に「唎酒番所」で唎酒体験もしてきました。
どうぞ、最後までよろしくお願いします!

―ぽんしゅ館さんは日本酒以外にも様々な商品を取り扱っていますよね。

例えば、うちは米菓商品をたくさん集めています。それも、大手メーカーさんの商品よりも、規模の小さい作り手さんの個性や特徴が感じられる商品が中心です。米菓というのは、味付けの違いだけではなく、素材や製法によっても味わいや食感に違いがあって、例えば、全く同じせんべい生地を使っても焼き方によって全く異なる食感になる。片や口の中が痛くなるほどの堅焼きに、もう一方はソフトなふっくらサクサクの食感に、といったように。

それと、オリジナル商品としても米菓を多数展開しています。米の美味しさを感じ取ってもらうために、塩だけ、醤油だけなど非常にシンプルな味付けにしている「玄米あげもち」という商品は、現在ではあまり栽培されていない貴重な「〆張糯(しめはりもち)」という品種の糯米をつかっています。古い品種なので、生産効率が低いため作り手が少なくなってしまったのですが、非常に味が濃くコシの強い品種で、米菓にしてもしっかりとした強い味わいを表現できると考えて、農家さんに特別にお願いして、契約栽培で作ってもらっています。

 

店内には多種多様な米菓がたくさんあります!

 

ル レクチエの栽培農家さんの話では、傷ついたものだとか規格外のものが結構出るようです。そうなると本来の値段で売れないものですから、これを活用することで農家の支援をできないか、ということで、オリジナル商品の「雪色ソーダ」の原料として採用しました。

 

―形が悪くても味とかは変わらないですもんね。

素材を丸ごと活かしたくて、果汁だけでなく、果肉も使うことにしましたが、製造工程では、この果肉の中の繊維に炭酸が反応してしまい、すぐに抜けてしまうという難点がありました。果汁と果肉の量を減らせば炭酸は入りやすいのですが、その分、香りや風味が弱くなるため、そういった選択をしませんでした。結果的に、微炭酸となりましたが、当初からこれは「大人の炭酸飲料」という位置付けの商品として考えていたので、むしろ好都合でしたね。

 

他にも、悩ましいことがありました。製造の都合上、炭酸飲料なのに果汁や果肉が瓶の底に沈殿しちゃうんです。それと、この沈殿の量はどうしても個々にバラツキが出るんですね。でも、それも個性として捉えることにしました。もっと言うと、着色料や香料を使用していないから、収穫年ごとの違いや熟し具合による果実の味わいの違いがそのまま製品に現れます。なので、生の果物そのもののように同じものが二つと無い。こんな個性的でおもしろい飲み物、他にはなかなかないでしょう。

この事を通じて、一見弱点だったところが、転じて魅力になることもあるってことを経験しました。

 

雪色ソーダ 洋梨の炭酸 ¥500(税込)

 

うちが本当に自慢できるのは、商品一つ一つが新潟の文化と繋がっているってことだと思います。お客さんも知らぬ間にこのことを感じて「ぽんしゅ館って面白いよね」と言ってくれています。その中心に日本酒があるということです。

 

―課題や今後の展望について教えていただきたいです。

全店舗で今、年間400万人の来客があります。ですが、そのうち買ってくださるのは約140万人なので、来店しても買わないお客様の方が多いのが現状です。まだうちの魅力が足りないということだと思うので、更なるぽんしゅ館の面白さを、どこに見出していけるか考えています。目標としては売上を約25億円から30億円に伸ばしたいですね。

ぽんしゅ館は、「新潟」を売るためのメッセンジャーになることがビジョンです。もっと新潟の魅力を発信するためのスキルを身につけていかなければならないと考えています。うちには今15人のお米マイスターがいます。その数を増やして会社全体で新潟を自慢できる体制をさらに整え、その自慢がちゃんとお客様に届く環境をつくっていきたいです。

もう一つの展望にニューヨークプロジェクトがあります。今、日本酒も海外輸出が増えてきているといいますが、ほんの一部です。海外ではまだ日本酒を知らない人が圧倒的に多く、世界的にはワインがメインです。

うちは日本酒を楽しむエンターテインメントショップなので、うちが動くことで日本酒は世界に伝わると思います。そこで流行の発信地であるニューヨークを起点に、世界に広げていくのが良いのではないかと考えました。ですから、他の国の方からのお誘いもありましたが、全部お断りしました。

ニューヨークの愛好家と一緒に展開し、ブランド力を磨き上げてから広く海外へ発信していった方が、時間は掛かりますが認知度は高まると考えています。

現状では、ニューヨークで通用しないと考えているので、様々な準備をしています。

 

―具体的にどのようなことを計画しているのですか?

唎酒番所での楽しみを広げられるアプリの導入を検討しています。自分が飲んだお酒がアプリに記録され、約350種類のお酒を自分のコレクションとして保存できます。欲しいお酒を選べば、オンラインショップと連携しているので購入も簡単です。一番の魅力は、試飲して気に入ったお酒をその場ですぐに注文ができ、手ぶらで帰っても数日内には自宅に届くことです。

また、お酒が即座にお燗(お酒を温めること)されて出てくるようなお燗マシンも現在開発を進めています。最初に入れたお酒の味が残らず、次に別の銘柄を入れても影響がありません。品質管理面でも、過度の熱で味を壊さないように工夫しています。ですから、誰もが簡単にお燗を楽しめます。

日本酒は飲む際の温度の違いによる味の変化が大きいので、多くの人にそれを楽しんでいただきたいです。特にニューヨークの方はそういうのが好きではないかと考えて、このように色々計画していますよ。

 

「ぽんしゅ館 新潟驛店」の「唎酒番所」へ

 

新潟の全酒蔵のお酒がずらりと並んでいます!一つ一つお酒の特徴が書いてあり、初心者の方でも楽しめます。

 

実際に「唎酒番所」へ足を運び、唎酒体験をしてきました!入口には、お酒の熟成度合いを知らせるとされ、酒蔵に付き物である杉の葉を球状に束ねた「酒林(さかばやし)」が、目印に吊るされています。今回の取材メンバーは現在20歳で日本酒初挑戦の学生と、日本酒が好きな学生の2人です!

通常は500円でコイン5枚と交換できます。「20歳の君へ」という割引を行っており、20歳の方はなんと300円でコイン5枚と交換できます!お猪口をマシンにセットし、指定枚数のコインを投入し、ボタンを押すとお酒が注がれます。

 

日本酒の温度の違いで味わいはもちろんのこと、名称も変わるようです。日向燗(ひなたかん)や人肌燗(ひとはだかん)、ぬる燗等々。

 

セルフお燗のサービスも体験しました。ここでもお燗で飲むのがおすすめのお酒が紹介されていました。

「ぽんしゅ館」さんは日本酒初心者の方に非常にやさしいですし、お客様が自分の感性に問い合わせることができるように力を入れているのが伝わってきます!

 

壁には「日本酒ナビゲーター」の資格取得者のお名前がずらりと並んでいます!

 

 

取材メンバーの感想

 

初めて日本酒を飲み、種類ごとの味や香りの違いを楽しみました。産地を知りながら飲むのも面白く、20歳特典で200円お得に唎酒を体験できて良かったです!(前田)

「唎酒番所」には何度か足を運んだことがありますが、取材後は髙村さんのおっしゃる通りお酒を通じて自分の感性に問い合わせることができるようなサービスが充実していることに気づかされました。私は日本酒を時々嗜みますが、まだまだ分からないことばかり。ですから「日本酒ナビゲーター」の資格をとって唎酒番所内に名を残したいです!(丸山)

新潟県民もそうでない方も「ぽんしゅ館」に足を踏み入れた瞬間、気づかぬうちに新潟の食文化の魅力に取りつかれてしまうかも…あなたもぜひ「ぽんしゅ館」さんに足を運んでみてはいかがですか?

高村さんのたすいち

「越後新潟のドラマを食で語る!!」ぽんしゅ館

■株式会社レルヒ

〒949-6102 新潟県南魚沼郡湯沢町大字神立1003

TEL:025-785-5671

 

■ぽんしゅ館 新潟驛店

〒950-0086 新潟県新潟市中央区花園1-96-47 CoCoLo新潟 メッツ館

TEL:025-240-7090

公式HP:https://www.ponshukan.com/

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