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▼【友達の輪】前回の記事はこちらから
―「新し屋酒店」の歴史と特徴を教えてください。
塚本さん:新し屋酒店は1955年創業で、1983年に法人化しました。元々日本酒(新潟地酒)を主体で販売していましたが2014年にお店のリニューアルを行った際に、ワイン専用のワインルームを設けて、日本酒とワインに特化した酒店となりました。
客層は40〜50代の方が多いですね。また、ここ2〜3年は若いお客様も増えている印象です。幅広い年代のお客様が来店されますが、お客様と「つながる」ということに関しては、日本酒(物)がもたらしたつながりだけではなく、人としての、自分とお客様のつながりを大切にしています。実際に、人となりを分かっていただいてお付き合いをしているのが常連のお客様であったり、長く付き合っていくお客様になったりということが多いと感じています。
(新し屋酒店の外観)
(ワインルームの様子)
─お店の理念を教えてください。
塚本さん:当店では特に既存のお客様を大切にするということを心がけています。そうすれば、段々と口コミで評判が広がっていくと思っています。より多くの方に当店を知っていただくためにイベントを開催するといった方法もあると思います。しかし、堅実に仕事をしていればお客様はいらっしゃると思うので、お店をしっかり営業していくということを大切にしています。SNSで発信することはもちろんですが、メディア関係からお話をいただいたらしっかりお受けしてお店や私を知ってもらえるように努めています。こちらからいろいろ動いてお客様を呼び込むというよりは、今提供できているものを継続していく中で既存のお客様を大切にする。そこから始まる営業をしていきたいですね。
-フランスへ一年半留学されていたとお聞きしました。どのようなきっかけで渡仏を決めたのですか?
塚本さん:東京の酒販店で働いている時に、ワインのソムリエ資格を取得しました。そのときにもっとワインについて深く勉強したいと思うようになったのがきっかけです。
フランスはワイン世界一の国として有名なので、そこで勉強することが1番だと思って、フランス行きを決めました。
-資格取得後もワインを極めようと思うなんて、すごいです!フランスで印象的な出来事を教えていただけますか?
塚本さん:私がフランスに行って驚いたことが、日本のワインソムリエの資格が、全く活きなかった。ということです。「ソムリエ資格を持っています!」と公言するのが恥ずかしくなるくらい、フランスのソムリエの方々はレベルが高かったです。
私が働いていたところはミシュラン一つ星のレストランでした。そういった環境も手伝って、自分の実力不足を痛感させられると共に、毎日刺激的でしたね。日本のソムリエ資格とは天と地の差だと感じました。ソムリエの中でもトップクラスの方々がいる環境で、あらゆる面でとにかくレベルが高かったです。ですが、そういう環境で学べたことは、現在の店づくりのもとになっていると思います。この経験がなかったら今の自分はなかったと断言できるくらい貴重な経験でした。
(今回取材に応じてくださった塚本さん)
-日本酒、ワインのそれぞれの良さを教えてください。
塚本さん:日本酒は、美味しいお米、お魚など和食ととてもよく合うところが魅力だと思います。特に新潟の日本酒は、全体的に控えめな香りと主張し過ぎない味が特徴で、新潟県民の特徴と同じ部分もあるのかもしれません。ワインは、味の幅が広く、奥深いところが魅力だと思います。ワインはブドウの品種、国、生産者によって味が変わっていきます。もっと細かく言うと土壌、気候などいろいろ要素が重なり合って一つのものが出来上がっています。ワインは、一本につまっている情報量がすごく多いので、そこが面白いところだと思います。
(あまり出回っていないレアなお酒にも出会えるかも?)
塚本さんには、お酒の楽しい飲み方だけでなく、奥深さについても詳しく教えていただきました。
塚本さん:たとえば友人何人かで居酒屋に行って同じ日本酒を飲んでも全員が違う感想を持つと思います。そこが日本酒の面白さであり、奥深さでもあると思います。飲む人によって違う感想があると言うことも、日本酒の違いとして楽しむことができます。
学生のうちから日本酒を香り、味、酒蔵についてなど勉強して、楽しみながら飲む。という経験をしていると将来的に役に立ちますよ。社会人になったときに接待や交流でご飯に行った時などに、新潟のお酒を知っていることが武器になります。
ただ、嗜好品ですので逆算して無理やり勉強する必要はないと思います(笑)
-最後に新潟の若者へ向けての「たすいち」をお願いします。
塚本さん:昨今、SNSで目立っていたり、世間から注目をされているお酒など流行りを押さえることが重要視されているように感じます。たしかに流行りを知ることは大切なのですが、お酒は嗜好品ですので飲んだ感想は人によって違います。周りの意見に流されず「自分はこのお酒が好きだ!」という軸を持つと飲食店に行ったときや家飲みが充実した時間になると思います。
ぜひ地酒を中心に取り扱っている飲食店や酒屋に足を運んでプロの話を聞いて、様々なお酒にチャレンジしていただきたいです。
豊かな経験と知識でお店を進化させ続けている塚本さん。まるで彼の人柄と観察眼がお店の温かくも鋭敏な雰囲気につながっているようでした。
日本酒やワインは学生には少し敷居が高いかも、と思っている人もぜひ一歩を踏み出してみてください!
「#鮭プロ_友達の輪」シリーズの第5回は、新し屋酒店さんに人柄と経験値を生かしたつながりについてうかがいました。第6回は新潟県にUターンをしてお店を開いた「WORLDBURGER新潟駅前店(新潟市)」さんを紹介していただきました。次回もお楽しみに!
▼次回記事はこちらから
■新し屋酒店
住所:〒950-0131
新潟県新潟市江南区袋津4丁目2-21
TEL:025-382-2345