たべる

FOOD

2022.11.28

魚や片桐寅吉/港茶屋①|素材の味を歴史とともに堪能する

MASU
新潟市は歴史ある港町。明治期の開国の際に世界とつながるために開かれた5つの港のうちの1つであることを記憶している人は多いのではないでしょうか。今回は、文明開化のロマンを感じる『魚や片桐寅吉/港茶屋』を学生記者・チームいくらちゃんのチームMASU、本間と吉原がご紹介します。日本海と豊かな自然が生み出す美味しい和食、歴史を感じる空間。ここだけでしか体験できないことが皆さんを待っています。

11月号の「たべる」は、新潟中央水産市場株式会社 代表取締役社長 藤田普(ふじた・ひろし)様よりうかがったお店や港町新潟に関するトピックをご紹介します。

 

読んだあなたには衝撃の(?)大発見が訪れるかもしれません…。

 

(今回お話しをうかがった藤田社長)

 

(店内から和風庭園が楽しめます)

 

 

『魚や片桐寅吉/港茶屋』の建物は文化庁の有形文化財に登録されていますが、お客さまからの反応はいかがですか?

 

(入口の「登録有形文化財」。重厚感があります)

 

藤田さん:非常に大きな反応をいただいていると思います。文化財になっているのは、明治期に建てられただけではなく、新潟の町家の建築様式を代表するものであることも理由に挙げられます。この建築様式は、お店の近くにある『旧小澤家住宅』とほとんど同じもので、玄関から座敷沿いに土間がはしっている新潟の特徴的な様式です。町屋は街中の商業をしている家屋のイメージが強く、新潟では(この建物よりも)もう少し狭い間口のものを意味するそうですので、建築の専門の方からは、町屋というよりも屋敷に近いのではと言われています。

 

継ぎ足しをして近隣の土地を購入して増やし、広くなっていると言われており、その結果、(お店の)庭ができました。新潟の町屋は狭くて長いと言われています。

 

建物が建てられた時期にはすでに魚の商売を始めていました。家業の魚を食べられる、港町文化を象徴する料理屋・食堂ということで、建物と商売に港町新潟としてのストーリーがあります。この物語をお客さまも楽しんでいかれております。

 

 

現在は体験や思い出を旅の目的とするなど「コト消費」を重視する方が増えていますが、観光客の方も多いのでしょうか?

 

藤田さん:食事の場所としてツアーのプログラムに組み込まれ立ち寄られる方がいらっしゃいます。お店に博物館的な意味合いを持たせるために写真を玄関に貼っています。カフェの部屋には新潟の古い街並みの写真(初代萬代橋開通の時の写真や蒸気船が映っている写真など)を飾っており、新潟の港町文化に興味を持っていらっしゃる方は写真をご覧になって質問してくださることもあります。関心をお持ちの方は非常に喜んでおられます。

 

(「露領水産組合総会記念写真」明治42年と記載されている)

 

うちの先祖は北洋漁業をやっており、当時のカムチャッカでサケマス漁をしておりました。帆とエンジンのある当時としては大きな船、機帆船で航海をしていました。サケマスをとって塩漬けにして中国の上海まで持っていったそうです。

 

 

お店の中にある史料はどなたかから寄贈されたものなのでしょうか?

 

藤田さん:これは土蔵の中から出てきたもので、価値が分からないものまでたくさんありました。

 

(本物の東海道五十三次まで!!)

 

(ふすま戸を利用したテーブル)

 

このテーブルは建物のふすまの戸を使っております。ここは夏に使う簀戸(すど)です。全て大工さんの古いものを大切に使う精神によって作られたものです。

 

 

古町だからこそ味わえるおいしさ、魅力は何でしょうか?

 

藤田さん:(ここは古町には属さないのですが)近年、古町では糀(こうじ)を使った食品を扱っているお店が流行っています。東堀の加島屋さんは鮭の取り扱いから始まった代表的なお店です。また、漬物の小川屋さんは、魚の漬物、新潟の食文化を代表する焼き漬けを扱っています。片桐寅吉でも自社ブランドの焼き漬けを中心とした魚の加工品を売り出そうとしています。これからの経営はブランディングを進めていく必要があり、新潟由来の食文化を利用したおいしいものを作りたいと考えております。

 

 

―ブランディングに至った背景を教えてください。

 

藤田さん:従来は大きなスーパーの下請け加工を行っていました。そこから付加価値の高い独自の商品を作っていきたいと考えるようになりました。当社は仲卸の会社でしたが、流通業界の変化への対応策として、小売部門に進出することになりました。現在ではふるさと村・ピアBandai・築地・上越に鮮魚センターがあります。自分の持つ小売部門で販売することができることで、製造販売という強い業態に変化しています。

 

 

新潟由来ということで、お店のメニューには「雪室」が付くものがありますね。雪室は食材とどのような関係があるのでしょうか?

 

藤田さん:コーヒーを雪室で保存すると苦み・えぐみ・雑味が少なくなり、美味しいものになります。小豆・白玉も雪室に保存することできめ細かな粉となります。また片桐寅吉では、鮭を雪室で熟成させて美味しくさせた発酵品につけこむ加工品を作っています。新潟は醸造文化が栄えた町で、酒屋・味噌屋が今でもあります。明治期には発酵ができない極寒の北海道まで輸送したそうです。

 

 

メニューの中で鮭プロ世代に注目してほしいポイントを教えてください。

 

藤田さん:まずは、新潟の活きのいい美味しい魚をシンプルな料理で味わい、魚の良さを知って欲しいです。そして、刺身や焼き魚といった素材の味を楽しむ和食を歴史ある魚屋で味わっていただきたいです。

 

 

魚や片桐寅吉 藤田普さんの「たすいち」

ふるさとを思う鮭の心を大切にしてください。色々なものに調理され、からだ全てが美味しく食べることのできる鮭のように人々に貢献できる人になってください。

次回は実際に人気のメニューを食レポします!お楽しみに!!

 

 

■魚や片桐寅吉/港茶屋

住所:〒951-8068

新潟県新潟市中央区上大川前通12番町2742

TEL:025ー201ー8082

WEB:http://minato.sakana-bandai.com/torakiti/