たべる

FOOD

2024.04.02

田中屋本店 ①|みんな大好き、笹だんごの秘密って?

anone、(あのね)
皆さん、こんにちは!
4月号の「たべる」担当はチーム「anone(あのね)、」です。
4月といえばお花見。お花見といえば桜とお団子。そして、新潟県で有名なお団子と言えば…そう、「笹だんご」ですよね!
今回は新潟市中央区にある「田中屋本店 みなと工房」に取材してきました。
第1回目は、みんな大好き「笹だんご」を始めとした、田中屋本店さんの商品についてです!

〈プロフィール〉

田中 幸江(たなか ゆきえ)様

神奈川県出身 昭和56年に新潟に移り住む。

 

 

─笹だんごといえば細長い形が特徴的ですが、どうしてこの形なのでしょうか?

 

田中さん:お団子が笹からはみ出さないためです。笹だんごは、中のお団子を笹にくるんで蒸し上げますが、α化するとお団子が膨らみます。その時に笹が破れて中のお団子が出てこないように、笹を3枚使ってしっかりとイグサで縛っているんです。

 

また、真ん中を縛らない下越地方の縛り方では幅が広がってしまうので、その分笹を4枚使って合わせを深くしています。

 

─なるほど!お団子が膨れた時のために大きめの笹を使って、あの形になっているんですね!

 

 

─お団子を笹で包むメリットはあるんですか?

 

田中さん: これが大きいんです。笹には物を腐らせるのを防ぐ働きがあるんです。笹で生のお団子を包んで空気を遮断して、100度の蒸気で20分間蒸し上げると、出来上がったお団子は熱で無菌状態になります。その状態を笹が守ってくれるから、笹に包むことはとても重要なんです。昔は防腐剤も食品添加物もありませんから笹のこうした防腐作用は大切で、包んでおくと長持ちするという先人の知恵があったんですね。

 

(笹だんご作り体験の写真。イグサで縛る作業は、個人的難関ポイントでした…!)

 

─笹だんごの原料についてですが、もち米と上新粉を混ぜて使うのはどうしてなのでしょうか。

 

田中さん:もち米と上新粉の割合を考えつつ組み合わせることによって、もち米のもっちり感と、上新粉のもち米とは異なるコツコツとした感じを取り入れ、日か経っても柔らかく食べやすい食感にするためです。そのため、冬と夏では割合を変えているんですよ。

 

 

─やはり、一番美味しいのは出来立てなのでしょうか?

 

田中さん:少し前までは、笹だんごは少し冷めて落ち着いたくらいの方がコシも出て美味しいと言われていましたが、確かにここ20年くらいは、出来立て熱々が美味しいと笹だんご作り体験を通して言われることが多いですね。やはり「自分で作った」という経験が大きいんだと思います。

 

 

─確かに自分で経験することは大きいですよね…!お店で笹だんごを買った時に、家でできる美味しい食べ方があれば教えてください。

 

田中さん:笹の作用のお陰で、笹だんごは冬に常温で10日ほど経っても腐りませんが、お団子は硬くなりますよね。お団子が硬くなってしまったら、蒸し器で蒸したり、笹で包んだまま鍋で15分ほど煮たりすれば、柔らかく仕上がります。

 

もっと簡単な方法としては、大きめのどんぶりに笹だんごと水をひたひたに入れて、電子レンジで3分ほど加熱すると、蒸し器で蒸したときのようになりますよ。ただし、笹団子をラップなどで包んで電子レンジで加熱しようとすると、すぐに硬くなったり、破裂したりするので気を付けてくださいね。

 

─なるほど。水を張るのが大切なんですね!

 

 

─田中屋本店さんでは笹だんごだけでなく豊富な種類の商品がありますが、どのようにして商品を開発しているのですか?

 

田中さん: 社長や社員、特に役員は日本全国様々なところに研修会や勉強会で伺う機会が多くて、その土地で人気のあるお菓子を大体段ボールいっぱいに買って、それをみんなで試食するんです。「学ぶ」ということは「まねぶ(真似ぶ)」、つまり「真似る」ことも大事ですから、良いものを受け入れる気持ちで、「新潟の材料を使ったらどんなことができるかな」「世の中ではどのようなものが好まれているのかな」とみんなで意見を出し合っています。例えば、季節の人気商品である「生チョコ大福」は10年以上販売していますが、当初のものから3回くらい変えています。そんな風に試行錯誤して作っていますね。

 

それと、若いスタッフの意見をよく聞くことを大切にしています。これは私の言葉ではありませんが、「伝統とは革新の連続だ」という言葉もあります。伝統と聞くと守り続けるものだと思いがちですが、「これが良い。だからここで止まる」ではなくて、「これが良い。でもそれを時代に合わせていこう」ということが大事だと考えています。

 

 

─若いスタッフさんから商品への意見も結構出るんですか?

 

田中さん:そうですね。「こうしたら美味しかった」みたいな意見を出してくれます。会社全体で約100名のスタッフがいて、その内の半数が20~30代です。定年を過ぎた後も本人の希望で残っている人もいます。

 

ただ一つ変えないのは、縦軸は絶対に動かさないことです。物事には縦軸と横軸がありますが、「極力物を足さず、材料の良さを生かす」という縦軸を変えない範囲で、横軸はみんなで話し合い時代に合わせていこう、という方針でやっています。

 

 

─田中屋本店さんの商品パッケージなどに描かれているキャラクターの「あかねちゃん」は、いつ頃に誕生したのでしょうか。

 

田中さん:昭和57年、上越新幹線が開通した年ですね。開通当時にSAISON店(現在のCoCoLo店)で県外から来たお客さんに「この女の子のお店」と覚えてもらえたらいいなぁ、ということで生まれました。

最初は名前がなかったんですが、その店で働いていた店員さんたちが、茜色のちゃんちゃんこを着ているから「あかねちゃん」と現場で呼び合っていたのを、後に正式名称にしたんですよ。

 

─茜色のちゃんちゃんこを着ているから「あかねちゃん」なんですね!

 

(みなと工房の看板。あかねちゃんはここにも登場しているんですね…!)

 

今回は、田中屋本店さんの商品について主にお伺いしました。

第2回では、今回訪れているみなと工房について、引き続き田中さんに聞いていこうと思います。

次回をお楽しみに!

 

 

■田中屋本店 みなと工房

住所:新潟県新潟市中央区柳島町1-2-3

電話番号:025-225-8822

 

HP:https://www.dangoya.com/

Instagram:@tanakaya.honten_official

 

▽次回はこちらから

https://sakepro.jp/food/9800/