はたらく
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(代表取締役社長の城丸学さん〈左〉と鳥屋野店副店長の坂井修平さん)
(1)人生を共に過ごす家具
家具を選ぶとは、家にいる時間をどう過ごしたいか、です。お客様一人一人、趣味や学校、バイトなど生活のあり方が違います。流行っている人気の家具というものはなく、その方の生活に合うものがそれぞれあります。

(この家具が自分の部屋にあったら…想像しながら歩くのが楽しい店内)
また、家具を買うのは1人暮らしや就職、結婚など生活の変化があったときが多いと思いますが、「取り替える」ものではないと思っています。人生は区切れるものではなく、過程が続いていくもの。住む場所や同居する人の変化、経験が増えたことによる価値観の変化はあるでしょう。その中でインテリアはどう時間を過ごしていくかで必要になります。家具は過ごしてきた時間や思い出の蓄積です。自分の変化や選んできたものを大切にすること。人生と同じように積み重ねていけるのが家具だと思います。

(日用品が並ぶコーナーも)
(2)家具の選び方
家具は頻繁に買う商品ではありません。何十年と買わないこともあります。その瞬間の良さを伝える商品ではありません。例えば1950年代のデザインが今も古くならずに使われています。快適に使えることで普遍的なデザインにつながります。家具の「良さ」とは、その時々の流行りではなく、自分にはまるか、はまらないか、です。使って馴染んで、愛着がわいてこそ、自分にとって良いデザインになっていきます。
ただし、買う回数が少ないので、お客様が試行錯誤して選んだり判断したりする機会が多くはありません。そのせいか他人の評価に頼りがちです。そうではなく自分にとって、一緒に住む人にとっての目線で情報収集してください。ぜひ店舗に出向いて、スタッフに相談してください。「長く使っていきたいか」。それを一緒に選んでいけたらと思います。家具店は小売業ですが、暮らしのお手伝いが一番重要だと思っています。

(家具以外にさまざまなショップが集まり、衣食住がそろう)
(3)家具を長く使うために
ツールボックスにとってデザインの基準は長く使えること、修理できることです。家具店ですから販売していかなければいけませんが、一方でたくさん消費することが必要かは考えなければいけません。当社では他店でご購入された家具も含めて修理を請け負っています。家具職人もいるんですよ。

(店内の一角で椅子の手入れをしていたスタッフ)
来年は創業45年を迎えますが、原点はリサイクルショップです。商品を別の人へ提案して、長く使い続ける。それが創業の精神でした。時間を掛けて顧客を増やし、共感してくれる方が来てくださるようになりました。世代を超えて長くお付き合いしていければうれしいです。長く使いたい人の意思に寄り添う形になれればいいなと思います。
ケース1:本をたくさん読むので目を使います。目に優しくてリラックスできる、読書に良い部屋は?
坂井さん:原色は使わない方がいいと思います。色を見せるのであれば柔らかい色や濃い色を。主役は生活する人。視線の先に気持ちが和らぐ、自然に存在する淡い色の方が疲れにくいですね。

(相談に乗る坂井修平さん)
ケース2:自分の好きな色は白、紫、黄色。一方で古民家のような落ち着いた木の色や雰囲気も好き。部屋作りで両立しますか?
城丸さん:こちらの部屋はこのテイスト、あちらの部屋はこのテイストというように別々にするのも一つです。部屋作りの過程は続いていくもの。洋服と一緒。家具を使ってみて気に入ったら、そのテイストで集めていくのも部屋作りの楽しさです。

(「困ったときに思い浮かべてもらえる地域や家庭に近い存在でありたい」と話す坂井さん)
私自身のこれまでの歩みさえ肯定してもらえるような、人生哲学にも通じるお話だなと感じながらの取材でした。簡単には取り替えられない大切なものを、大切に大切に使っていく―。今まで何度か訪れたことのある店内。何となく居心地の良さを感じたのは、ただ単純におしゃれな家具が並んでいるからではなく、実はその根底に優しい哲学があるからなのかもしれません。
(ライター・本間美季子)
