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2023.04.19

若手現代アーティスト今井兄弟 今井翔太さん①|現代アートは、面白い!

ちゅーりっぴ
皆さんはアートと聞いて何を思い浮かべますか?有名なものは、ゴッホやピカソの絵画でしょうか。最近では、美術館で絵画を見る人が増え、アートが身近なものになりつつあると感じます。では、みなさんは現代アートについてどのくらい知っていますか?また、芸術をなりわいとされている人はどのようにして働いているのでしょうか。

今回は、新潟を拠点に活動されているアートユニット「今井兄弟」の兄・今井翔太(いまい・しょうた)さんをご紹介。チームちゅーりっぴの佐藤・原・岡部がお話を伺いました!

<プロフィール>

今井翔太(いまい・しょうた)さん(26)

長岡市出身。新潟大学教育学部美術教育専修卒業。アイルランドやフランスなど留学経験が豊富で、現在は弟の今井駿弥(いまい・しゅんや)さんと今井兄弟として活躍されています。2020年に個人事業主として起業し、会社設立を考えています。現在はてるてる坊主をモチーフにしたキャラクター「Telu Telu Boy」に関連した個展の開催やキャラクターグッズの販売、その他デザイン事業やバンドプロデュース(figbash & the Sketchy friends)、雑談系アートラジオ「アートのミカタ」などで活動されています。

 

<アートユニット「今井兄弟」今井駿弥さん(弟/左)・今井翔太さん(兄/右)>

 

―アートを仕事にされている人がどのようにやり繰りされているのか気になるところですが…。まず、なぜ起業をしようと思われたのでしょうか。

 

今井さん:世界の最前線で活躍している芸術家の多くは会社を設立して作品制作をしているんです。日本で言うと代表的な方は村上隆(むらかみ・たかし)さん。現代美術ではありませんが、例えばジブリの宮崎駿(みやざき・はやお)さん等をイメージすると会社で作品制作をするということが分かりやすいと思います。

 

―確かに、ジブリだと多くのアニメーターを抱えて、チームでアニメを作っている印象ですね。

 

今井さん:そうなんです。日本だと芸術家は個人で絵を描くというイメージがありますよね。ですが、僕は芸術家になると決心した時から世界で活躍したいという思いがあったので、起業しようと考えました。まだ会社は立てていないのですが、今年立てられたらなと思っています。最終的には、従業員を雇ってさらにクオリティの高い作品を作っていきたいですね。あとは、世界で活躍されている現代美術家の宮島達男(みやじま・たつお)さんの「若いうちから芸術家として個人事業を開業し税の申告をしておいた方がいい」というメッセージを見つけたのもきっかけです。

 

―「世界的にアートで活躍すること」と「起業すること」は避けては通れないということですね。

 

<新潟の好きなところは自然豊かなところ、それでいて程よい都市感があるところだそうです。「県外に行っても、海外に行っても新潟が1番!」>

 

今井さん:起業することは、美術作品に使う資材などが経費として計上でき、税制上のメリットが受けられることもありますね。後々、会社を設立するうえでもお金の勉強をしておかないと、と思い切って役所へ個人事業主の開業届を出しに行きました!

 

―起業は勇気がいると思いますが、思い切りも大事ですね!

 

今井さん:僕はアートだけで収益を得ようと思っていたのですが、長岡の学生起業家交流会で出会った方から、アートを全ての収益ポイントにしなくても、別の事業から資金調達をしてアートに注ぐ方法もあることを教えていただきました。芸術をやる以上、自己資金の方が自由に作品制作できるんです。

 

―なるほど。そういったやり方があったなんて!芸術を仕事にしたい方、必見です!
 今井さんは海外経験が豊富ですが、作品や生き方に反映されていることはありますか?

 

今井さん:僕はそもそも、大学に入るまでは全くアートに興味がなかったです!(笑)どちらかと言うと漫画やアニメが好きでしたね。決定的なターニングポイントとしては、大学3年生の海外研修でスペインとオランダに行って本物のアート作品を現地で見た時です。そこで初めて世界のレベルを知るというか、本物って違うんだ!と衝撃を受けました。そこから昔のことを模倣していても駄目だ、世界で活躍するには歴史に残るような新しいことをしなくては…!と思って、現代アートの道に進もうと決意しました。

 

―やはり、海外経験の影響が大きいのですね!

 

今井さん:そうですね。大学卒業後は、もっと若いうちにヨーロッパで本物の芸術作品を見ないといけないなと思い、アイルランドへ留学しました。この留学は僕の今後の人生全体に影響してきています。また、語学学校のフランス人の友達と共に過ごす中で、食文化や風景、生き方が全然違うことに驚きました。そういったことからも影響されて、なんだかタガが外れて、自由になりましたね。

 

<アイルランド留学時の今井さん>

 

―今井さんが現代アートについて考えていることを教えてください。

 

今井さん:現代アート=難しいもの、わけのわからないものととらえられていますが、仕組みが分かると全然そんなことない!現代アートはシンプルで、歴史が分かると面白さも分かるんですよ。現代アートの中でも最低限のルールはあるので、その中でいかに形式を外していくかが重要だと思っています。

 

<2019年に初の個展を開催>

 

—今回アオーレ長岡で開催(2023.3.4~18)された展示会「明日はきっといい天気プロジェクト」について教えてください。

 

今井さん:今回の展示会は長岡市内の4大学1高専の学生を中心としたメンバーでつくる「ゆるまち委員会」さんの主催で展示会を行っていただきました。長岡市の上組小学校や地域の子どもたち、そして福祉施設の方々から300体のてるてる坊主を制作してもらい展示しました。300体それぞれの表情が個性豊かで、ひとり一人の思いや願いが込もった世界に一つだけの作品が完成しました。それぞれの作品はプロジェクトのホームページに掲載されていますので是非ご覧いただきたいと思います。

(明日はきっといい天気プロジェクトhttps://fine-weather-project.com/

 

明日はきっといい天気プロジェクト【アオーレ長岡での展示会】
300体の思いのこもったてるてる坊主が素敵です!
※ アオーレ長岡での展示会は終了しています

 

今井さん、ありがとうございました!

 

今回の鮭プロ「はたらく」シリーズ、“現代アーティスト「今井兄弟」今井翔太さん”の第一回連載では、現代アートの魅力や活動の経緯、芸術家として活動していくためのなりわいなどを教えてもらいました。また、地域の子どもたちとの共同プロジェクト「明日はきっといい天気プロジェクト」のとっても素敵な作品をご紹介いただきました!

第二回の連載は、今井兄弟が生み出したとてもポップなキャラクター「Telu Telu Boy」の誕生秘話、さらに世界での活躍を目指す今井さんの今後の展望についてお話を伺いました。次回もお楽しみに!

 

今井兄弟HP:https://imaibrothers.jp/

今井翔太HP:https://shotaimai.jp/

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